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【トップリーグMVP】人生初の賞!中靏隆彰が目指すは「後輩」福岡堅樹越え

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サントリーサンゴリアスの全勝優勝で幕を閉じたトップリーグ、その年間表彰式が1月15日(日)に都内で行われ、優勝チームや個人タイトル、ベストフィフティーンをはじめとする各賞が発表されました。

 

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神戸製鋼WTB山下楽平選手は負傷の影響で欠席。それ以外の14選手がフォトセッションに応じました。

 

■トップリーグ2016-2017 ベストフィフティーン

PR1 稲垣啓太(パナソニック) ※4季連続4回目

HO 日野剛志(ヤマハ発動機) ※初受賞

PR3 伊藤平一郎(ヤマハ発動機) ※初受賞

LO ヒーナン ダニエル(パナソニック) ※2季連続6回目

LO ジョー・ウィーラー(サントリー) ※初受賞

FL ジョージ・スミス(サントリー) ※3季ぶり4回目

FL 布巻峻介(パナソニック) ※初受賞

NO8 松橋周平 (リコー) ※初受賞

SH 流大(サントリー) ※初受賞

SO 小野晃征(サントリー) ※4季ぶり3回目<得点王>

WTB 中靏隆彰(サントリー) ※初受賞<最多トライゲッター>

WTB 山下楽平(神戸製鋼) ※2季ぶり2回目

CTB ヴィリアミ・タヒトゥア(ヤマハ発動機) ※初受賞

CTB 立川理道(クボタ) ※初受賞

FB 松島幸太朗(サントリー)※2季ぶり2回目

 

そしてこの中からMVPが発表されたのですが、その瞬間、多数のファンが詰めかけていた会場はどよめきました。最多トライゲッターとベストフィフティーンをダブル受賞していたサントリーサンゴリアスWTB中靏隆彰(なかづる・たかあき)選手がMVPに選ばれたのです。

 

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トップリーグの高島正之チェアマンからMVPの楯を受け取るサントリー中靏隆彰選手(左)。

 

中靏選手自身は、チームメイトのSO小野晃征選手かFLジョージ・スミス選手が受賞するものだと思っていたそうで、どよめいた会場以上に本人が一番驚いていた様子でした。しかし15試合で17トライは偉業であり、特に昨年12月24日のヤマハ発動機戦でのトライ(前半15分)は優勝の行方を左右する大きなトライになったと言えます。スピードだけではなく、既報のとおり高い「ラグビーナレッジ」(サントリー沢木敬介監督)がトライの量産につながったことも忘れてはいけません。

 

西南学院高校(福岡)、早稲田大学、いずれにおいてもタイトルを獲れず、ラグビーに限らず今まで個人的な賞をもらったことがなかったという中靏選手に、受賞の感想や今後の目標について聞きました。

 

──最多トライゲッター、ベストフィフティーン、MVPの3冠です。

「(MVPは)チームメイトの小野晃征かジョージ・スミスがもらうものだと思っていたので、僕なんかがもらっていいのかな、というのが本当に率直な気持ちです。1ミリも想像していませんでした」

──受賞の知らせはいつ?

「(トップリーグ年間表彰式の会場に来て)さっき(受賞者一覧が記された)紙を配られて知りました。他の選手から『なんでお前なんだ』と言われたり批判されるのが怖かったです(笑)。でもチームメイトからは『おめでとう』、『もっと喜べよ』と言われ、ジョー・ウィーラーからは『FWのおかげだね』と冗談で言われました。(沢木敬介)監督は笑っていました」

──受賞してあらためて。

「過去の受賞者を見るとジョージ・スミスだったり、べリック・バーンズ(パナソニック)だったりと偉大な選手たちがもらっている賞なので、身に余る光栄です」

──偉大な選手に仲間入り。

「いや、それは違うと思います」

──これを機にどんな目標を?

「これからもこの賞に見合う選手になるように努力するのはもちろんですが、日本代表やサンウルブズも狙っていきたい気持ちは自分としてはあるので、そこを目標に(日本)選手権を1試合ずつがんばっていきたいと思っています」

──成長したと実感している点は?

「今年は相手のスペースを攻めるという取り組みがあって、その中で必要なのがコミュニケーションということで、チームの中でのコミュニケーションを試合中も細かくしっかりと取れるようになれたことが今年のチームの躍進につながったと思います」

──ラグビーに限らず、過去の受賞歴は?

「ないですね。ラグビー以外でもありません。人生初です」

──今季の17個のトライの中でも特に印象深かったのは。

「やはりヤマハ戦のトライですね。僕は(ボールを)置いただけなのですが、最初にFWがスクラムでターンオーバーしてBKで一発で獲り切ったトライは、今年のチームの中でも大きなトライだったと思います」

──日本代表、サンウルブズに向けてどこをアピールしたい?

「スピードを一番の武器にしたいですし、世界と戦う上でフィジカルは重要だと思うので、そのレベルをインターナショナルスタンダードにまで上げて、少しでもチャンスを狙っていきたいと思っています。スピードを落とさずに体を大きくしたいという思いがあるので、シーズン中は難しいですけど、オフシーズンになったらしっかりと体を作って、自分の武器を磨いていきたいと思っています。3キロぐらいは(体重を)増やして85キロぐらいにしたいですね」

──日本代表やサンウルブズのヘッドコーチから常にみられているという意識は?

「見られているとは思っていなかったですが、チームとしてインターナショナルスタンダードを目標に掲げているので、常にそういうレベルをチームで意識していたと言うのはあります」

──WTBはライバルが多いですが、意識している相手は?

「福岡堅樹(パナソニック)とは小学校の頃から一緒のクラブチーム(玄海ジュニアラグビークラブ。年齢は中靏が2歳上)でやっていて、(今の活躍は)本当にすごいなと。足も小さい頃から早かったですし、若いうちから世界で活躍しているのでライバルだと思っています」

 

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昨年12月24日のヤマハ発動機戦、前半15分に決めたトライが今季一番のトライと中靏選手は述懐。

 

サンウルブズと日本代表入りを視野に入れている中靏選手。そこでは15人制と7人制の日本代表であり、サンウルブズにも今季から加入する福岡堅樹選手というスクールの「後輩」が、世界的実力者の「先輩」として立ちはだかっています。そんなライバルに実力を見せつけたトライ王、ベストフィフティーン、MVPの受賞でしたが、謙虚な中靏選手はこれに奢ることなくひたむきに研鑽し、近い将来サンウルブズや日本代表のスコッドに割って入るかもしれません。

 

日本選手権での中靏隆彰選手の活躍は見逃せません。そして同時期(1月28日)に行われるトップリーグ入替戦では、玄海ジュニアラグビークラブから競い合ってきた兄・中靏憲章選手が九州電力のキャプテン・CTBとして出場する可能性が高く、近鉄と昇格・降格をかけて対戦。異なる大会ではありますが、負けたら終わりのトーナメントに兄弟それぞれが挑みます。

 

<取材・文・撮影/齋藤龍太郎(楕円銀河)>