エディー・ジョーンズ率いるイングランドの連覇なるか?

(写真/Getty Images)

 

2月4日~3月18日にラグビーの欧州6カ国対抗戦「シックス・ネーションズ」が行われる。イングランド、スコットランド、アイルランド、ウェールズ、フランス、イタリアが総当たりで対戦し、優勝を争う。

 

優勝候補筆頭は昨年グランドスラム(全勝優勝)を果たした、エディー・ジョーンズ ヘッドコーチ(HC)率いるイングランドだ。2年連続でグランドスラムを達成するかに注目が集まっている。

 

“ラグビーの母国”イングランドは2015年、自国開催のワールドカップで史上初めて、ホスト国ながら予選プール敗退という屈辱を味わった。失意から立ち上がるために、白羽の矢が立ったのが、初の外国人指揮官となったエディー・ジョーンズ前日本代表HC。ワールドカップでの実績が評価されての就任だった。

 

2016年の冒頭、ジョーンズHCは「目標は2019年ワールドカップで優勝すること」を明言し、チーム作りに着手。キャプテンに悪童と知られるHO(フッカー)ディラン・ハートリーを指名したことは、国内外で驚きの声が上がった。

 

ハートリーは何度も出場停止になるなど問題が多い選手で、ワールドカップにも出場できなかったが、ジョーンズHCは「間違いは誰にでもある」と意に介さず、キャプテンに任命した。

 

ハートリーは誰にでも率直に接することができ、チームの空気を入れ替えるには適していた。オーストラリア出身のジョーンズHC同様、イングランド国外(ニュージーランド)出身で、コミュニケーションが取りやすかった点も大きかったようだ。

 

さらに指揮官はNo.8(ナンバーエイト)ビリー・ヴニポラ、CTB(センター)オーウェン・ファレル、FB(フルバック)マイク・ブラウンの3人を副将に指名、彼らの成長を促した。ジョーンズHCは昨年のシックス・ネーションズでは、メンバーの約2/3をワールドカップメンバーから選出し、ハートリーを中心としたリーダー陣を形成、チームの再建を図った。

 

続いてジョーンズHCは、前キャプテンFL(フランカー)クリス・ロブショウをオープンサイドFLから、ブラインドサイドFLに変えてプレーに専念させる。また、ライバルだったジョージ・フォードとファレルという2人のSO(スタンドオフ)を競わせるのではなく、ファレルを12番に置いて「ダブル司令塔」として共存させた。

 

さらに若いタレントを積極的に呼んだ。その成功例がLO(ロック)マロ・イトジェだろう。弱冠21歳のイトジェは、昨年のシックス・ネーションズでデビューした後、瞬く間に不動の正LOとして、秋にケガをするまでフルタイムで活躍した。

 

こうして、ジョーンズHCは、もともと才能のある選手たちを上手くコントロールし、昨年のシックス・ネーションズでは、初戦のスコットランド戦に勝利すると勢いに乗り全勝優勝。優勝も5年ぶりだが、グランドスラムは2003年以来となる快挙だった。

 

誇りを取り戻したイングランドは、6月にオーストラリア代表にアウェーで3連勝、秋には10年間未勝利だった南アフリカから白星を挙げるなど、2016年は無敗。13連勝で駆け抜けて、世界ランキングは2位に上昇した。

 

当然、今年のシックス・ネーションズでも連覇、そしてグランドスラムの期待がかかるイングランドだが、ヴニポラやロブショウなどケガ人が続出し、危ぶむ声もある。だが、昨年11月のテストマッチでも、主力選手を多くケガで欠いていたが、ジョーンズHCは層の厚さに、上手く競争意識を与えて乗り切った。

 

指揮官の存在、チームの成熟度合い、3試合ホームで戦えることを考慮すると、今年もイングランドが優勝に最も近い位置にいることは変わらない。2月4日、ホームで行われる初戦のフランス戦で勝利し、勢いに乗りたい。

 

イングランドの最大のライバルはアイルランドだろう。2014、15年には優勝したが、昨年はベテラン選手が抜けたこともあり、2勝1分2敗の3位。ただ、秋には40-29と世界ランキング1位のニュージーランドに初勝利。3月18日の最終戦はホームでイングランド戦を迎えるだけに、その試合まで全勝で行きたい。

 

この2チームの後を追うのが、ウェールズとフランスか。2012、13年に優勝しているウェールズは、昨年は3勝1分1敗で2位。秋は南アフリカに勝つなど、3勝1敗と好成績を残した。

 

ただ、昨年11月からウォーレン・ガットランドHCが、6月のブリティッシュ&アイリッシュ・ライオンズのニュージーランド遠征の指揮に集中しており、ロブ・ハウリーHC代行が指揮を執っていることは不安材料。ただ、イングランド、アイルランドとはホームで戦えるため、地の利を上手く生かしたい。

 

フランスは昨年から元トゥールーズのギー・ノヴェスHCが指揮を取っている。昨年は若手を起用し、2勝3敗の5位に終わった。それでも秋のテストマッチではニュージーランドとオーストラリアに善戦するなど地力はつけてきた。初戦のイングランド戦次第では優勝も見えてくるかもしれない。

 

2015年は全敗だったスコットランドは、2015年ワールドカップでベスト8進出の勢いのまま、2勝をあげ4位と順位を上げた。だが、2014年から指揮を執るニュージーランド出身のヴァーン・コッターHCが6月に退任することが決まっており、現体制での最後の大会となる。攻撃的ラグビーは健在で、今年こそ上位に食い込めるか。

 

昨年、1勝もできなかったイタリア。6月に就任したアイルランド出身のコナー・オシェアHCとなって初の大会となる。厳しい戦いとなることは必至だが、秋に初めて南アフリカに勝つなど調子は上向きだ。2戦目までホームでの試合が続くので、いずれかの試合で白星を奪いたい。

 

イングランドが昨年の勢いのまま2連覇、そして全勝優勝を果たすのか。それともエディー・イングランドに初めて黒星をつけて、優勝を奪うチームが現れるのか。今年の欧州最強国決定戦はイングランドを軸に、大いに盛り上がりを見せるはずだ。

 

 

◆◆◆ WOWOW番組情報 ◆◆◆

 

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第1節:

スコットランドvsアイルランド 2/4(土)夜11:10~[WOWOWライブ]

イングランドvsフランス 2/4(土)深夜1:40~[WOWOWライブ]

イタリアvsウェールズ 2/5(日)夜10:45~[WOWOWライブ]

 

第2節:

イタリアvsアイルランド 2/11(土・祝)夜11:10~[WOWOWライブ]

ウェールズvsイングランド 2/11(土・祝)深夜1:40~[WOWOWライブ]

フランスvsスコットランド 2/12(日)夜11:45~[WOWOWライブ]

 

第3節:

スコットランドvsウェールズ 2/25(土)夜11:10~[WOWOWライブ]

アイルランドvsフランス 2/25(土)深夜1:40~[WOWOWライブ]

イングランドvsイタリア 2/26(日)夜11:50~[WOWOWライブ]

 

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