開幕節いきなりのライバル対決、何かが起こる? 連覇を目指すイングランドにフランスが挑む!

(写真/Getty Images)

 

ラグビー欧州最強を決める戦い、シックス・ネーションズがいよいよ開幕する。世界のラグビーをリードしてきた最古の国際大会。今年はどんな戦いが繰り広げられるのか? WOWOWでは、開幕に先立ち、展望座談会を開催。世界のラグビーを肌で知るレジェンドたちがラグビー談義を繰り広げた。座談会に出席したのはスーパーラグビーの日本人選手第1号となったSH(スクラムハーフ)田中史朗選手、FW選手としてイングランド・プレミアシップに出場した日本人選手第1号のPR(プロップ)畠山健介選手、そしてWOWOWの解説でおなじみの元日本代表SO/CTB(スタンドオフ/センター)大西将太郎さん、同じく元日本代表FL(フランカー)野澤武史さん。2月4日の開幕第1節、まずは昨年グランドスラム(全勝優勝)を飾ったエディー・ジョーンズ率いるイングランドと、昨年は5位に沈んだもののワールドカップ決勝進出3度を誇るフランスの対決について、4人がそれぞれの視点で見どころを語った!

 

 開幕節の注目カード、イングランドvsフランス。

 イングランドは、2015年ワールドカップで、ホスト国ながら予選プール敗退という屈辱をなめたが、エディー・ジョーンズHC(ヘッドコーチ)を迎えた昨年はいきなりグランドスラム(全勝優勝)を達成。対するフランスは、2015年ワールドカップではD組2位で決勝トーナメントに進んだものの、準々決勝でニュージーランドに13-62で完敗。昨年のシックス・ネーションズでは2勝3敗の5位に沈んだ。

 両国は1906年にパリで初対戦し、イングランドが35-8で勝利。以来昨年まで102回対戦し、イングランドが56勝、フランスが39勝、7度の引き分けがある。昨年は最終節でフランスのホーム、サン=ドニで対戦し、イングランドが31−21で勝っている。今回はイングランドのホーム、トゥイッケナムでの対戦だ。トゥイッケナムではフランスは2007年に勝ったのを最後に、イングランドが5連勝中だ。というデータだけ見ると、今年もイングランドが有利か、と思ってしまいそうだが、話はそう簡単ではなさそうだ。大西さんが指摘するのは「初戦」というファクターだ。

 「何か起こるとしたらここでしょうね」と大西さんは言う。

 「イングランドは今、ケガ人が多く出ていますよね。エディー・ジョーンズは基本的にメンバーを固定して戦う監督ですが、シーズンの初戦はどうしても新しい選手が何人か入ってくる。彼らがどんなパフォーマンスを見せるかですね」

 テストマッチデビュー戦は特別な試合だ。そこに、昨年から全勝を続けているというプレッシャー、地元トゥイッケナムでの開幕戦というプレッシャー、加えて、もしかしたらエディー・ジョーンズHCのプレッシャー…いくつもの要因が選手にはかかってくる。

 「いろんな要素が入ってくると思うので、彼らが緊張して思うようなパフォーマンスができない、自分たちの時間がなかなか作れない…なんて展開になったら、フランスにもチャンスが出てくるんじゃないかな」

 

 そもそも、イングランドとフランスには歴史的なライバル関係がある。ここに注目するのは、日本人のスーパーラグビー選手第1号となった『世界のタナカ』田中史朗だ。

 「お互いライバル関係でやりあってきた同士の対決なので、何が起こってもおかしくないですよね。というか、むしろ起こって欲しい。そういう結果が他のチームにも影響します。周りの国もその結果にエキサイトして、その気になって、レベルの高い試合をする。そういう積み重ねで、大会はどんどん盛り上がっていくものですから」

 

 昨年はニューカッスル・ファルコンズに期限付き移籍し、日本人FWで初めてプレミアシップ選手となった畠山健介も「歴史」に着目する。

 「歴史的に見ても、ラグビーに限らずいろいろな面でイングランドとフランスはライバル関係ですしね。その両国が、ラグビーという土壌で、互いの威信をかけて戦うのが見どころです」

 テストマッチは歴史を背負い、国を背負って臨むもの。ましてシックス・ネーションズでは…昨年はイングランドでプレーし、英国の空気を肌で知るからこその感覚だが、畠山はもうひとつ、違う視点からの見どころをあげた。

 「エディーは『入り』をとても大切にする人だから、初戦をかなり重要視していると思う」というのがそれだ。

 「エディーはおそらく、この試合が、イングランドにとってシックス・ネーションズの5試合、そして年間15試合くらいの結果を左右すると考えているでしょう。その分、イングランドは慎重になるだろうし、逆にフランスは昨年5位のチームなので、思い切りやれるはず。その要素がどう噛み合うのか、噛み合わないのか。噛み合ったら面白くなる」

 

 技術的なポイントはどういう部分にあるのだろう。WOWOWの解説でもおなじみの野澤武史さんは「ブレイクダウンのボール争奪戦」をキーポイントに上げた。

 「昨年のデータでいうと、イングランドはシックス・ネーションズで最もターンオーバーからのトライが多いんです。そして、昨年秋の試合では、ブレイクダウンでのセカンドマネーズと呼ばれる、2人目の絡みを相当強化している様子が見えた。一方のフランスも、昨秋の戦いぶりを見ると、キックを減らして、ボールの保持時間を増やして、走って抜くスタイルを取っていました。それだけに、ボールの争奪力がキーになってくるのかなと思います。」

 

 BKについても、フランスは独特のスタイルを持っている。大西さんの解説だ。

 「フランスは伝統的にBKが深いラインでアタックするんですよね。スペースのあるところで、1対1の状況を作って、足の速いランナーが勝負する。対して、今のイングランドは『ウルフディフェンス』と呼んでいるのですが、ディフェンスラインのスピードをあげて、内から外へ押し出すのではなく、真っすぐ出るディフェンスをやっている。そのディフェンスに対して、フランスが思うようにアタックできるかどうかがキーになると思います」

 

 イングランドは昨年、年間テストマッチ13戦全勝。2015年ワールドカップの予選プール最終戦、ウルグアイ戦から数えるとテストマッチ14連勝中だ。このシックス・ネーションズで再び全勝すれば、最終戦でテストマッチ19連勝の世界記録を達成することになる。

 対するフランスも、低迷しているだけではない。昨秋のテストシリーズではオーストラリアに23-25、ニュージーランドにも19-24と肉薄した。

 

 最後に、大西さんにオススメの注目選手を聞いた。

 「イングランドはLO/FL(ロック/フランカー)のマロ・イトジェ。21歳で、195cm、110kg。ワールドラグビーの2016年新人賞に輝いた選手です。フランスはWTB(ウイング)ヴィリミ・ヴァカタワ。リオ・オリンピックのセブンズでも活躍したフィジー出身の24歳で、185cm、92kgというサイズとスピードが魅力です。フランスが良い成績を残すとすれば、彼の活躍が不可欠でしょうね」

 

 シックス・ネーションズの開幕は2月4日、注目のイングランドvsフランスは日本時間深夜25時50分キックオフだ。

 

この座談会の模様は、WOWOWメンバーズオンデマンドで限定配信中。

 

 

◆◆◆ WOWOW番組情報 ◆◆◆

 

★「生中継!ラグビー欧州6カ国対抗戦 シックス・ネーションズ」

ヨーロッパのラグビー強豪6カ国が参加して行なわれる大会の模様を全15試合生中継!

 

第1節:

スコットランドvsアイルランド 2/4(土)夜11:10~[WOWOWライブ]

イングランドvsフランス 2/4(土)深夜1:40~[WOWOWライブ]

イタリアvsウェールズ 2/5(日)夜10:45~[WOWOWライブ]

 

第2節:

イタリアvsアイルランド 2/11(土・祝)夜11:10~[WOWOWライブ]

ウェールズvsイングランド 2/11(土・祝)深夜1:40~[WOWOWライブ]

フランスvsスコットランド 2/12(日)夜11:45~[WOWOWライブ]

 

第3節:

スコットランドvsウェールズ 2/25(土)夜11:10~[WOWOWライブ]

アイルランドvsフランス 2/25(土)深夜1:40~[WOWOWライブ]

イングランドvsイタリア 2/26(日)夜11:50~[WOWOWライブ]

 

■ラグビー座談会 #1~#5

WOWOWメンバーズオンデマンで随時配信予定。#2「ウェールズvsイングランドの見どころ」は、2/5 深夜1:15~公開予定!

http://www.wowow.co.jp/mod/

 

■詳しくは、WOWOWラグビーオフィシャルサイト(wowow.bs/rugby)をチェック!

http://www.wowow.co.jp/sports/rugby/

 

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