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【サンウルブズ17−83ハリケーンズ】昨季王者に魅せつけられた80分の中に見た光明

スーパーラグビーデビューとなったWTB福岡堅樹選手。前半のライン際でのパス。

スーパーラグビー新規参入を果たした昨年から2年連続、ホームの秩父宮ラグビー場で開催されたサンウルブズの開幕戦は、ほろ苦い…いや、苦々しい結果に終わりました。昨季スーパーラグビー初制覇を果たしたニュージーランドの強豪中の強豪、ハリケーンズに13トライを許し17−83で完敗。昨季18位対1位、実力や経験の差は明白でサンウルブズが勝つには難しい相手でしたが、想像に違わない厳しい結果が待っていました。

 

フィロ・ティアティア新HC(ヘッドコーチ)のもとメンバーも大きく入れ替わり新たなスタートをきりました2年目のサンウルブズ。日本代表との連携がより明確に図られ「ジャパン≒サンウルブズ」という図式となり、さらに脚光を浴びるなか2月25日(土)の開幕を迎えました。

 

対する昨季王者のハリケーンズ(ニュージーランドカンファレンス)はHOデイン・コールズ選手(キャプテン)、SHティージェイ・ペレナラ選手(ゲームキャプテン。キャプテンのコールズ選手がリザーブのため)、SOボーデン・バリット選手、WTBジュリアン・サヴェア選手といった、現ニュージーランド代表「オールブラックス」の中心メンバーで構成。世界的名手たちを相手にサンウルブズがどんな戦いを見せてくれるのか、17553人のファンが固唾をのんで見守りました。

 

2016年のワールドラグビー最優秀選手に輝いた、ハリケーンズSOボーデン・バリット選手。

2016年のワールドラグビー最優秀選手に輝いた、ハリケーンズSOボーデン・バリット選手。

 

昨季開幕戦はライオンズに健闘しただけに(13−26でサンウルブズの負け)、そこはかとなく漂っていた微かな期待は、キックオフ早々からハリケーンズの目の覚めるようなアタックによって一掃されました。前半5分、10分にジュリアンの弟FLアーディー・サヴェア選手が、7分にはWTBヴィンス・アソ選手が、13分にはHOリッキー・リッチテリ選手が立て続けにトライ。20分にはSHペレナラ選手、27分にはWTBサヴェア選手がトライを重ね、0−38と大きく引き離されます。

 

勝敗が決しつつあるなか一矢報いたいサンウルブズは前半33分、敵陣でのマイボールラインアウトを起点に左へ展開し、ライン際をWTB福岡堅樹選手が駆け抜けるとFBリアン・フィルヨーンにラストパスを送り、フィルヨーンがインゴールに飛び込みます。TMOの結果トライとなり、5−38とサンウルブズが今季初得点を挙げました。

 

スーパーラグビーデビューとなったWTB福岡堅樹選手。前半のライン際でのパス。

スーパーラグビーデビューとなったWTB福岡堅樹選手。前半33分のライン際でのパス。

そのボールを拾い上げたFBリアン・フィルヨーン選手がトライ!

そのボールを拾い上げたFBリアン・フィルヨーン選手がトライ!

 

しかし、5−45とさらにリードを広げたハリケーンズは後半もトライを量産。1トライ対13トライで5−83となった後半18分以降、つまり後半の後半からようやくサンウルブズが主導権を握り始めます。29分、サンウルブズは敵陣でのラインアウトからフェーズを重ね、交代出場していたFL金正奎選手が力強くインゴールに飛び込んでトライ。10−83とすると、試合終了間際の37分にもNO8ヴィリー・ブリッツ選手が豪快にダイビングトライ、17−83とします。この時間帯は完全にサンウルブズがゲームを支配し、計3トライを獲得。昨季王者に一矢報いる形で試合終了を迎えました。

 

後半29分、FL金正奎選手のトライ。当たり負けしない力強さが光りました。

後半37分にはNO8ヴィリー・ブリッツ選手が豪快にトライ。

 

試合後、サンウルブズのHCティアティアHCは、

「厳しい試合になることは予測していましたが、サンウルブズの選手は最後まで一人もあきらめませんでした。それに関してはハッピーです。オールブラックスの選手が6人いるハリケーンズはプレシーズンもいい結果を残し、いいゲームプランを積み重ねてきました。しかし我々は18日間しか練習をしていません。そんな相手に3トライ決めたこともハッピーですが、すぐに向上し直していかなければいけないことが多々あるのも事実です。次のキングズ戦(3月4日)に向けて短い準備期間にはなりますが、しっかり調整していきます」

と大敗の中にも光明を見出していました。そして、

「この質問が出なかったのが残念なので私から言いますが、(この試合で)サンウルブズとして12名の選手がスーパーラグビーデビューを果たしました(※純粋なスーパーラグビーデビューは10名)。この快挙をみなさんに祝福してほしいし、報道してほしい。スコアボードは大差でしたが、私達は常に向上したいという気持ちで取り組んでおり、毎試合学んでいきたいです」

と、デビューした選手を含め奮闘したサンウルブズのメンバーを讃えました。

 

続いてキャプテンのFLエドワード・カーク選手は、

「明日また日が昇ると思っています。最後の20分間はやりたいプレーが実行でき、プレッシャーをかけることができたのではないでしょうか。ハリケーンズはスコアを取られないチームですが、最後の20分でこちらがトライをとることができました」

と一時的にハリケーンズを追い詰めたことに胸を張りました。

 

そのコメントを裏付けるように、ハリケーンズの名将クリス・ボイドHCは、

「最後の15分は残念な結果でした。その15分はサンウルブズの勝利だったと思います。我々にとっては残念な内容でしたが、それでも試合全体を通じて、激しさを一貫して持って、我々のゲームを作れたと思います」

と振り返り、ゲームキャプテンSHティージェイ・ペレナラ選手も、

「サンウルブズが激しく戦ってきたので、我々もマッチしないといけないという意味でフィジカル、スピードも求められました。出足の15分は非常にいい内容で戦うことができましたが、徐々にサンウルブズも巻き返してきて、最後の15分、20分は彼らのゲームでした。そこを今後の戦いに活かしていきたいです」

と、揃ってサンウルブズのラスト15分のアタックを褒め称えました。

 

サンウルブズが大敗したことに変わりはありませんが、2年目を迎えたばかりのチームに金星を求めるのは無理があります。王者と賞賛されるハリケーンズですら、ニュージーランドカンファレンスの中では弱い位置付けから脱却できずにいたチームですが、長く研鑽を重ねた結果2015年に準優勝、2016年に初優勝という結果をつかみ取りました。

 

2019年までには明確な結果が求められるのはもっともですが、ラグビーの強化は一朝一夕にはいかないという理解が大前提として必要だと思います。そんななかで3トライ。しかも昨季の大きな課題だったセットピースに大きな改善が見られたのは大きな進歩なのではないでしょう。

 

大敗した事実も、奪った3トライも、すべてはいい経験。サンウルブズの半年間に及ぶ長い戦いは始まったばかりです。温かく、時には厳しく、そして熱くその戦いぶりを見守っていくとしましょう。いい結果が必ずついてくるはずです。

 

<取材・文・撮影/齋藤龍太郎(楕円銀河)>