【サンウルブズ&NDS&ジュニア・ジャパン】3月は計70数選手の強化が進んだ実りある月

スーパーラグビーではサンウルブズが世界を転戦し、国内残留組はNDS(ナショナル・デベロップメント・スコッド)として東京・辰巳で長期のキャンプを行い、ジュニア・ジャパン(U20日本代表を見越して大学生のみで構成)はパシフィック・カップを2勝1敗と過去最高成績で終えるなど、3月は各カテゴリーの強化・進化が目に見えて進んでいる実りある月となっています(高校日本代表のU19アイルランド戦も控えています!)。

 

サンウルブズは残念ながら開幕4連敗と苦戦が続いていますが、光明を見出せるプレーはいくつもあり、状態としては上がっている印象です。本日3/25(土)は昨季1勝1分けのストーマーズを、その引き分けの舞台となったシンガポールで迎え撃ちます。

 

【3月25日(土)ストーマーズ戦・サンウルブズ登録メンバー】

※末尾の数字はサンウルブズのキャップ数/スーパーラグビーのキャップ数。

  1 山本幸輝(ヤマハ発動機)5/5

  2 庭井祐輔(キヤノン)2/2

  3 伊藤平一郎(ヤマハ発動機)3/3

  4 リアキ・モリ 18/42

  5 サム・ワイクス(コカ・コーラ)4/92

  6 エドワード・カーク ※キャプテン 19/58

  7 金正奎(NTTコム)5/5

  8 ヴィリー・ブリッツ(NTTコム)4/28

  9 内田啓介(パナソニック)4/4

10 小倉順平(NTTコム)2/2 

11 福岡堅樹(パナソニック)4/4

12 デレック・カーペンター(サントリー)15/15

13 ティモシー・ラファエレ(コカ・コーラ)3/3

14 江見翔太(サントリー)4/4

15 ジェイミー-ジェリー・タウランギ(宗像サニックス)3/15

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

16 坂手淳史(パナソニック)2/2

17 三上正貴(東芝)18/18

18 浅原拓真(東芝)17/17

19 ヘル ウヴェ(ヤマハ発動機)2/2

20 松橋周平(リコー)3/3

21 茂野海人(NEC)14/14

22 ヘイデン・クリップス(東京ガス)3/3

 

23 山中亮平(神戸製鋼)4/4

 

SO小倉選手が初先発を果たしたり、前節マン・オブ・ザ・マッチの江見選手が本職のWTBに移るなど、前節までから多少の変更が見られます。が、現状では最良と言える人選と言えそうです。

 

このサンウルブズの活動と並行して行われてきたのが、前述のNDSキャンプです。参加メンバーを見てもわかるように、この中からだけでも現在のサンウルブズと同等以上のチームが組めるほど素晴らしい人材が揃っています。なお、NDSには参加していませんが、サンウルブズのHO堀江翔太選手(休養)、SH田中史朗選手(休養)、共同キャプテンのCTB立川理道選手(リハビリ中)の存在も忘れてはなりません。

 

こうしたメンバーがサンウルブズの裏側で鍛えられています。3月6日から始まったNDSキャンプは昨日まで約3週間にわたって行われ(4月10日に再開)、極めてハードなメニューが組まれていました。選手は報道陣に対して「疲れた」とか「しんどい」などというコメントを残していませんが、各選手のSNSやブログ等を見るとかなりの強度で行われたことがわかります。辰巳で取材した筆者も、エディー・ジャパンを思い出すほどのハードな内容に驚きつつ、しかし日本代表ジェイミー・ジョセフHC(ヘッドコーチ)の地に足の着いた指導が非常に効果的で、選手も戦術やスキルを確実に吸収しているのが見ていてわかりました。

 

極めてハードなNDSキャンプでしたが、ジョセフHCは選手の確かな成長に満足していました。

極めてハードなNDSキャンプでしたが、ジョセフHCは選手の確かな成長に満足していました。

 

NDSキャンプ第2回目の4日目(3/16)、ジョセフHCは練習強度について、

 

「コンタクトをやりすぎるとケガ人が出ますが、やらなければ強化になりません。(キャンプは)崖ギリギリのところで(やっています)。突き落としてはいけないので、(あくまで)ギリギリのところで」

 

とケガしない程度の、しかし強化には有用な、絶妙な強度で行っていると明かしました。そして日々ハードな練習が続く中で、15日午後の練習を急遽休みにし、選手に休息を与えたことについて、

 

「(午後練の中止は)午前練が終わった後、直感で決めました。コーチ歴も長いので、そのあたりは見極めています。そうすると翌日の練習はしっかりやってくれるわけです」

 

とメリハリをつけて選手のモチベーションを上げる術を明かしました。そして仕上がりについては、

 

「まだ2週間ですが今の仕上がりには非常に満足しています」

 

と合格点。今週はコメントを取ることができませんでしたが、手応えを感じていたことは間違いなさそうです。

 

サンウルブズ、NDS、そしてジュニア・ジャパンは総勢70数選手にのぼりますが、このメンバーから日本代表が選出されることになる。ジョセフHCはそのようにも語りました。

 

「ARC(アジア・ラグビー・チャンピオンシップ)については、NDSとサンウルブズとジュニア・ジャパンから選びたいと思います。サンウルブズは27名を連れて行く予定で、休ませる選手やケガ人もいるので、それらを除いた中から選ぶことになります。6月のテストマッチ(ルーマニア戦1試合とアイルランド戦2試合)よりもまずはARCをターゲットにしています」

 

我々はついアイルランドを見てしまいがちですが、まずはARCから。その70数人の厚い選手層からメンバーが選ばれることになりますが(ARCについては当然、同時期サンウルブズのニュージーランド遠征メンバー以外から選出されます)、その選考についてジョセフHCは、

 

「誰がつらい中でもやり続けているのか、誰が学ぶ姿勢が強いのかを見ています」

 

とコメント。そう、NDSキャンプからすでに日本代表選考は始まっていたのです。

 

そのような視点で見ると、サンウルブズの連戦連敗もすべては日本代表強化のためのハードな道のりの途中。もちろん今日のストーマーズ戦も含めいい結果が早く出ることが望ましいですが、地に足の着いた強化が進んでいることは確かです。勝敗やワンプレーの出来不出来に一喜一憂するより、どこが改良されどこに問題があるのかをじっくり見極めながら観戦するのも、サンウルブズを応援する上ではおもしろい見方ではないでしょうか。

 

そして、4月8日(土)のブルズ戦(秩父宮ラグビー場)にはNDSで仕上がったメンバーや休養組もサンウルブズに加わることでしょう。3月の本当の成果が出るこの試合にも大いに注目です!

 

<取材・文・撮影/齋藤龍太郎(楕円銀河)>

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