【今日の一枚】リーグ最年少のパナソニックSO山沢が地元・熊谷でMOM!

10月8日土曜日、トップリーグは第6節を迎えました。この日、唯一首都圏で開催された主要試合、熊谷ラグビー場…ではなく陸上競技場で行われた2試合を取材してきました。

 

ラグビー専用場に比べれば広いトラックの分だけ観客席とピッチの距離が遠く感じたのは事実ですが、インゴールの狭さ(こればかりは陸上競技場の宿命ではあるのですが…)を除けば十分開催能力のある立派なスタジアム、という印象でした。

 

さて、注目は第2試合のパナソニックvsNEC。本拠地の群馬県太田市からほど近い埼玉県熊谷市はパナソニック第2のホームタウンです。オフにはよく練習試合を行う、大変仲のいい(と聞きました)NECとの一戦は、優勝争いの戦線に踏みとどまるためにも何とかボーナスポイント(3トライ差以上のチームに勝ち点1がプラスされる)を含む勝ち点5を狙いたい試合。対するNECも前節で上位のトヨタ自動車から勝ち星を奪っただけに、なかなか波に乗り切れない3連覇王者を苦しめたいところだったでしょう。

 

そのNECが狙い通り先制したのは、キックオフ間もない前半3分。ルーキーのWTB松浦康一選手の快足を活かしたトライで0ー5とします。負けられないパナソニックは10分、LOヒーナン ダニエル選手からのパスを受けたSO山沢拓也選手がトップスピードでボールをキャッチし、相手ディフェンスを置き去りにして同点トライ! 筑波大学4年生にして開幕戦でいきなりトップリーグ先発デビューを果たした山沢選手にとっては、これが記念すべきトップリーグ初トライ。コンバージョンゴールも自ら決めて7ー5と逆転します。

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前半10分のパナソニックSO山沢選手のトライ! トップリーグ初トライをチームメイトが祝福します。

 

その後はNECのミスやセットプレーの精度の差も手伝い、流れは自ずとパナソニックへ。27分のLO谷田部洸太郎選手のトライと山沢選手の1ゴール2PGで、パナソニック 20ー5 NECで前半終了を迎えます。

 

後半早々にNECのNO8スコット・ヒギンボッサム選手のトライで20ー12と点差を詰められるパナソニックですが、その流れを断ち切ったのは7分、頼れるベテランでありゲームキャプテンのWTB北川智規選手のトライ。33歳という年齢を感じさせないスピードでインゴールまで走りきり、27ー12と再び突き放します。

 

20分、パナソニックFL谷昌樹選手のトライで37ー12とした時点でトライ差は2。パナソニックはもう1トライ以上を追加して勝ち点5を狙いたところですが、25分にNECヒギンボッサム選手がこの日2本目のトライを決め、スコアは37ー19。勝利は着実に近づくもののボーナスポイントが遠のくという展開で、38分、途中出場していたパナソニックWTB藤田慶和選手が、こちらもトップリーグ初となるトライを決めて42ー19とします。トライ差は再び2。あとはわずかな残り時間の可能性に懸けます。

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日本代表に再選出されたパナソニック藤田慶和選手。山沢選手とアベック初トライとなりました。

 

しかし直後の39分にNECジョーダン・ペイン選手がトライを決め、44ー26。トライ差1となったこの時点で勝ち点4がほぼ確定したパナソニック、最後にLOヒーナン選手がトライで締めて最終スコアは51ー26。パナソニックが4勝目を挙げ勝ち点4を死守し、3連勝を狙ったNECは勝ち点0に終わりました。

 

マン・オブ・ザ・マッチに選ばれたのは、記念すべき初トライを含む26得点を挙げたパナソニックSO山沢選手。大学在学中に異例のトップクラブ入りを果たしたリーグ最年少選手が生まれ育った地元、熊谷での受賞ということになりました。

「変に考えすぎずにプレーできました。(2週間欠場が続き)頭の中でごちゃごちゃしていたのを整理しないといけないと思っていて、それをしっかり整理することで自分に余裕が持てるようになってくると思っていました。(整理しなければならなかったものとは)ゲームの組み立て方だったり、コールをしっかり覚えたりするなど基本的なことですね」

と山沢選手。肉体面よりも頭脳面での課題克服に手応えを感じていたようです。

 

パナソニックのロビー・ディーンズ監督は山沢選手について、

「彼のプレーには満足している。まず、このレベルに慣れることを望みました。ここ4〜5試合、(SOのベリック・)バーンズのプレーからいろいろと学んだことでしょう」

とコメント。ゲームキャプテンの北川選手は、

「山沢には好きにやっていいと言っていました。前半20分のPGを外してシュンとしていたので(笑)」

と終始ルーキーの盛り立て役を買って出ていたようです。異なる両者のコメントからは、山沢選手への強い期待感が感じられました。

 

一方で、勝ち点5を獲れなかったことについてディーンズ監督は、

「勝ちという結果はうれしいですが、もう少しいいプレーができたのではないでしょうか。ボーナスポイントという概念が邪魔をしたのかもしれません」

とわずかに無念さをにじませていました。優勝争いを続けるためには1つも負けられないこと、それも勝ち点5を取り続けなければ厳しいことは変わらず、他チームから一段とマークされるパナソニックにとっては苦しい状況が今後も続くことになりそうです。

 

なお、第1試合はキヤノンが豊田自動織機を31ー14で破り、今季2勝目で勝ち点4を獲得。キヤノンSOジャンクロード・ルース選手がキックで計16点を決める活躍を見せました。

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明日はこの日のハーフタイムの出来事をお伝えします!

 

そして! 今夜はTOP14・トゥーロンの五郎丸歩選手が初出場の見込みです。深夜3時30分からWOWOWで中継されるラ・ロシェルvsトゥーロン、ぜひお見逃しなく!

 

<取材・文・写真/齋藤龍太郎(楕円銀河)>

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