【JJJキーフレーズ②】日本のために戦うという目標は弟と一緒(SO田村優)

昨日、2日間の1次合宿を終えたJJJ(ジェイミー・ジョセフ・ジャパン)の中でも特にファンやメディアから注目を集めているのが、ともにSOの田村兄弟です。

 

NECで6年目のシーズンを迎えている兄・優(ゆう。写真右)選手は昨年のラグビーワールドカップに出場し、スコットランド戦ではCTBとして先発した実績の持ち主。南アフリカ戦も後半32分から出場し、あの歴史的勝利に貢献しました。その後はスーパーラグビー・サンウルブズでも活躍し、6月の日本代表ではプレースキッカーも拝命。現在38キャップ、国内屈指のゲームメーカーとして高く評価されています。

 

東芝加入1年目の弟・熙(ひかる。写真左)選手は、今季のトップリーグでルーキーながら開幕戦から先発SOとしてデビューした逸材中の逸材。強豪・東芝に早くも欠かせない存在になっています。2012年(明治大学1年時)にジュニア・ジャパンにスコッド入りするなど、早くからその才能をエディー・ジョーンズ日本代表前HCから認められ、今回の合宿地となった東京・辰巳のグラウンドでも練習経験があります。3年後に向けてさらなる成長が期待される、まさに将来性の塊と言えるでしょう。

 

帝京大学、トヨタ自動車で活躍した元豊田自動織機の田村誠氏を父に持ち、いずれも国学院栃木高校(栃木県)から明治大学に進学…と進路こそ同じですが、年齢差もあり、またトップリーグでは別のチームになったこともあって、一緒にプレーしたことはなかったそうです。今回初めて「チームメイト」となりました。

 

合宿最終日の練習終了後、テレビ局のリクエストで2人の囲み取材が実現しました。

 

──兄弟で代表に選ばれたことについては。

 誰でも経験できることではないと思うので、いいタイミングで声をかけてもらったなという思いはあります。

 いい経験ですし、周りの選手からもいい雰囲気で迎えてもらえて、いい環境だと思います。

──トップリーグは別チームになりましたが、代表で一緒になりました。

 年も離れていますし(現在4歳差・5学年違い)、親元を離れたのが僕はすごく早くて、彼がまだ小さい時だったので、こうしてツアーが続くと今まで(共に)生活していたよりも長い時間を(一緒に)過ごすことになるかなと思います。

 僕が小学生の時には(実家を)出ていたので(兄の)イメージはないんですけど、また違った関わり方ができたらいいなと思います。

──キッカーとしての争いも注目されます。

 練習はしますけど、今チーム(東芝)で蹴っていないので。でも(キックの)3点とか2点で試合が決まるので、いつでも蹴れる準備はしておきたいです。

 だそうです(笑)。僕も練習します。キッカーとしてというより、日本代表として日本のために戦うという目標は2人とも一緒です。争うのは僕たちだけではなくて、チームメイト全員に言えること一緒に高め合いお互いにサポートしながら、ちょっとでもチームの力になれるようにがんばりたいと思っています。

 

キックの話が多くなってしまったのは少し残念でしたが(時間の関係でペン記者による同時質問機会はありませんでした)、兄弟揃っての貴重な取材機会となりました。今年9月2日、トップリーグ第2節で東芝とNECの兄弟初対決(ともにSOで先発)が実現していますが、実はこの試合後、2人とも「お互いあまり意識していない」とコメント。照れくささもなくはなかったかもしれませんが、試合に集中していなければピッチに立つことはできませんから、これはおそらく本心でしょう。

 

今回の合宿でも、練習中にパスを投げ合う瞬間はあったものの、特に兄弟らしい仲睦まじい一面を見せることなくとにかく練習に集中していた印象でした。「誰でも経験できることではない」としながらも、「日本代表として日本のために戦うという目標は2人とも一緒」、「争うのは僕たちだけではない」と、兄弟だからといって特別ではないことを強調した兄・優選手。むしろチームメイトとして互いに高め合おう、そんな姿勢をコメントから感じ取ることができました。

 

テストマッチ同時出場が実現すれば、日本代表では1984年の川地兄弟(兄・FL光、弟、LO光二)以来史上4組目となるという田村兄弟。兄弟プレーヤーが多いラグビー界でも実現はまれのテストマッチ兄弟同時出場は、果たしてあるのでしょうか。

 

これからも田村兄弟の活躍から目が離せません!

 

<取材・文・写真/齋藤龍太郎(楕円銀河)>

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