【今日の一枚】願いよ届け!NTTコムSO小倉順平・今季3度目のMOM

少し日が空きましたが、今日は16日(日)の熊谷陸上競技場での第1試合、NTTコミュニケーションズ(以下NTTコム)vsトヨタ自動車の試合の模様をお伝えします。第2試合についてはお伝えしたとおり大差がつきましたが、先駆けて行われたこの試合は終始10点以上の点差が開かない接戦となり、見ごたえのある試合となりました。

 

結果はすでにご存じのとおり、19-13でホームのNTTコムが僅差で勝利。しかしNO8アマナキ・レレイ・マフィ選手、南アフリカ代表から戻ったばかりのSOエルトン・ヤンチース選手といった“超主力”がメンバー外という状況でも、危なげない戦いぶりでした(と私は感じました)。その原動力となり、常にチームの中心にいたのはやはりマン・オブ・ザ・マッチに輝いたSO小倉順平選手だったのではないでしょうか。

 

前半序盤に2度のPGを外し先制機を逃した小倉選手でしたが、30分に今季4本目となるトライを決め、ゴールも成功。7-0と先制すると、7-10と逆転された後半にはFL鶴谷昌隆選手の逆転トライ(9分)後に再び小倉選手がゴールを決めて14-10と再逆転。18分のWTB小泉将選手のトライで19-10とした後のゴールは決めることができませんでしたが、その後のトヨタの反撃を最小限に抑えて見事に勝ち点4を手にしました。

 

この日が今季3度目のマン・オブ・ザ・マッチ(5勝中3回! しかも2節連続)となった小倉選手。今季のトロフィーであるゴジラのフィギュアも3体目となり、試合後は喜びの表情…かと思いきや、

「結果として勝つことはできましたけど、最初の2つのPGは決めたかったですし、結果論ですが決めておけばもっと楽な展開になっていました」

と反省しきりの様子でした。

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プレースキック成功率は40%(5本中2本成功)。外した3本には決して難しくない角度からのキックも含まれており、正キッカーとしてもっと決めておきたかったところでしょう。

 

しかし、SOとしての働きについては、

「今日はいつもに比べてキックが多めで、今週1週間準備してきた中で、自陣から回すのもいいけどキック(によるエリアマネジメント)も大事だなと。今週はチームとしてそれをやってきたので、その成果が出てよかったと思います」

とキックによるゲームの組み立てが功を奏したこと、それに貢献できたことには自らに及第点を与えていました。日本代表との両立に苦労はないか、という質問には、

「(NTT)コムはコム、(日本)代表は代表なので、そこは意識していません。ただ、代表経験者の方々は全員がコミュニケーションを上手くとってくれて、すごくやりやすいです。みんながしゃべれる(という発見があった)。各が何をするかといった情報でいっぱいで、コムでも周りにそう話していかないといけないと感じています。(NTTコムと日本代表の)ラグビーが似ているので、すごくなじみやすかったです」

と答え、日本代表合宿でたしかな収穫があったとコメントしました。NTTコムのロブ・ペニーHCと日本代表のジェイミー・ジョセフHCが標榜するラグビーには「シェイプが似ている」などの共通点が多いのだそうです。だからこそ、そんな環境下で日々プレーしている小倉選手は代表に呼ばれたのかもしれません。ただ、

「(代表に)不安はないですけど、自分が本当にやっていけるのかという思いはありました。パスやキックのスキルはまだまだ低いので」

と少しネガティブな思いを包み隠さずに話しました。こうしたトップリーグの試合で、そして代表デビューを果たせばテストマッチの場で経験を積むことで、そのような不安は解消されていくことでしょう。ただ、同ポジションのヤンチース選手がチームに戻ってきたことについては、

「どうなるかはわからないですけど、彼(ヤンチース)もいろいろ教えてくれるし、吸収するところばかりなので、それによって自分がどんどん良くなっていけばいいですね。自分がどこまでできるか、この大事な2、3か月できることをやっていきます」

と、南アフリカ代表との10番争いに静かな決意を見せました。

 

次(10月22日)の相手は首位を快走する、強い、強いヤマハ発動機ジュビロ。

「すごく大事(な試合)です。チームの目標である4強入りを実現させるためにも、やるべきことをやり抜きます。どんな試合をやるかはミーティングを経て決めます」

と、早くも重要な次節に向けて表情を引き締めていたのが印象的でした。

 

ところで、メイン画像からもわかると思いますが、NTTコムの選手の左腕には赤いテープが巻かれていました。これはWTB諸葛彬(ジェガル・ビン)選手が負傷し緊急入院したためで、

「ケガをして戦っている彼と一緒に戦っているという意味を込めて」(HO須藤拓輝ゲームキャプテン)

全員が腕に付けたということです。ロブ・ペニーHCも、

「情報が入り次第報告したいが、把握している状況は須藤から申し上げたのが全て。家族と会社のサポートの中で療養しているところ」

と状況説明。一部報道によると脳梗塞の疑いで入院しているということで、大変心配です。チームとしてはこの試合でより団結し、諸葛選手に勝利を届けたい、という思いが強かったことでしょう。

 

「早く元気になってほしい」と諸葛選手の回復を願っている小倉選手。プレー面での活躍、実績はすでに自チームと日本代表の両HCに届いています。後はそんなプレーを通じた回復への願いが病床の諸葛選手に届き、一日も早い復帰を果たしてくれること。それが小倉選手をはじめNTTコムの選手、関係者の一番の願いでしょう。

 

諸葛選手の回復を、ただただ祈るばかりです。

 

<取材・文・写真/齋藤龍太郎(楕円銀河)>

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