日本代表、世界選抜に初勝利ならずも28-31と3点差の惜敗

10月26日(金)、ラグビー日本代表は世界選抜と対戦しました。11月のニュージーランド戦(3日)、イングランド戦(17日)、ロシア戦(24日)に向けての秋の初陣となったこの一戦は、来年のワールドカップの会場のひとつとなっている東大阪市花園ラグビー場(大阪府)で開催。リニューアル後のこけら落としということになりました。明るい照明も増設され、初のナイトゲームでの開催となりました。

 

世界選抜には元ニュージーランド代表のCTBマア・ノヌーや左PRワイアット・クロケット、2年連続でキャプテンを務めるSHアンドリュー・エリス、元南アフリカ代表キャプテンのHOアドリアン・ストラウス、そして現ニュージーランド代表メンバーであるFLジャクソン・ヘモポ、FLディロン・ハント、WTBネヘ・ミルナースカッダーといった世界的プレーヤーがずらり。パナソニックのロビー・ディーンズ監督が2015年と昨年に続きHC(ヘッドコーチ)を務めました。

 

日本代表は、右PR山下裕史が2015年のラグビーワールドカップ以来の代表復帰を果たしたほか、PR稲垣啓太、FLリーチ マイケルキャプテン、SH流大、SO田村優、WTB福岡堅樹、WTBレメキ ロマノ ラヴァといった実績十分のメンバーが並びました。また、先発FBにセブンズ日本代表経験のあるヘンリー ジェイミー、リザーブにはFL/NO8中島イシレリが入り、新しいチームとしての実力を発揮する場となりました。

 

前半、世界選抜のキックオフで試合が幕を開けると、10分、トヨタ自動車でも活躍中の世界選抜SOライオネル・クロニエに先制トライを決められ0-7とされると、15分には世界選抜WTBトニ・プルもトライ。0-12とリードを広げられてしまいます。世界選抜はこのトライで負傷したWTBプルに代わりWTB/FB森谷圭介(パナソニック)が入りました。

 

日本代表は前半21分、敵陣ゴール前での5メートルスクラムからのアタックで、SO田村がマイナス方向へキックパスすると、キャッチしたWTB福岡が得意のステップでインゴールまで一気に走り込みトライ。SO田村のゴールも成功し7-12、日本代表は5点差に詰め寄ります。

 

しかし世界選抜はコンバインドチームとはいえ実力者揃いです。31分にはWTBテヴィタ・リーが、39分にはトヨタ自動車でも活躍中のLOジェイソン・ジェンキンズが立て続けにトライを決め、7-24というスコアで前半終了を迎えました。

 

日本代表は17点のビハインドを抱えた状態で後半キックオフを迎えます。すぐさま反撃したいところでしたが、開始早々の1分、世界選抜WTBリーにこの試合2本目のトライを決められ、7-31と24点差にされてしまいます。

 

まず一本取り返したい日本代表は、ここから猛攻を見せ始めます。後半6分、自陣深くでの相手のアタックから、日本代表CTBラファエレ ティモシーがディフェンスで前に出て世界選抜のパスをインターセプトし、そのまま独走トライ。14-31と点差を縮めます。

 

そして後半20分、日本代表は敵陣深い位置でボールをキープし続け、ゴール前での7フェーズ目のアタックで、右大外でパスを受けたWTBレメキがステップで相手をかわしてトライ。SO田村がゴールを決めて、21-31と10点差に追い上げます。

 

さらに後半34分、12フェーズものアタックを継続した日本代表は、途中出場のSO松田力也がグラバーキック。同じく途中出場のCTB中村亮土がそのボールに追いついてトライを決めます。SO松田のゴールも成功し、日本代表は28-31と3点差に迫りました。その後も敵陣ゴール前で攻め続けた日本代表でしたが、あと1トライを決められず、28-31のままノーサイドを迎えました。

 

試合後、惜敗した日本代表のジェイミー・ジョセフHCはこのように振り返りました。

 

「選手たちの懸命な戦いを誇りに思います。非常に体格の大きいパワフルな世界選抜でしたが、チームはしっかりしたアティチュード(姿勢)と意気込みで戦えていました。それをしっかりと来週(11月3日)のオールブラックス戦でも引き続き表していきたいです。結果的には負けてしまいましたが、やってきたことが機能し始めている試合でした。ただ、2つの重要課題を早急に修正しなければなりません。1つは規律を守ること。11回のペナルティーをしてしまいましたが、これだけペナルティーをしてしまうとテストマッチでは勝つことができません。2つ目はセットプレーです。プレッシャーをかけられたスクラムもあったので、1週間でそれらの修正にかかりたいと思います」

 

日本代表キャプテンのFLリーチはこのように語りました。

 

「今日の試合についてはポジティブにとらえています。宮崎合宿ではメンタリティーの部分にフォーカスしてきました。(その点で)試合の最初の10分はよかったと思います。修正しなければならないのはディシプリン(規律)とセットピースです。このふたつがうまくいけばもっといい結果になっていたと思います。試合を通していいアタックはできているので、次の試合は修正するというより、いかに相手にプレッシャーを与えるか、以上を意識してオールブラックス(ニュージーランド代表)と戦いたいです」

 

 

最後は世界選抜を追い詰めた日本代表。11月3日(土)はワールドラグビー世界ランキング1位の王者「オールブラックス」ことニュージーランド代表と味の素スタジアム(東京)で対戦します

 

<取材・文・撮影/齋藤龍太郎(楕円銀河)>

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