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日本代表、601日ぶりの試合でサンウルブズに勝利!ライオンズ戦に備える

2トライを決めた日本代表HO堀越康介。2019年のワールドカップから落選も、力をつけて再チャレンジする。

興奮のるつぼと化したラグビーワールドカップ2019日本大会。その準々決勝、日本代表対南アフリカ代表から早1年8か月を経た2021年6月12日、ついに日本代表(JAPAN XV)がそれ以来601日ぶりとなる実戦に臨みました。

 

対戦相手はサンウルブズ。2016年から2020年まで5シーズンに渡りスーパーラグビーに参戦し、日本代表クラスの選手のみならず様々なルーツを持つ選手たちが一体となるラグビーらしいスタイルが多くのファンに愛され、同時に2019年に向けての日本代表強化の大きな礎となった、特別なチームです。

 

残念ながらスーパーラグビー2020シーズンの終了(中断)をもって活動を終えてしまったサンウルブズでしたが、かつてないほど長い空白期間を経て始動した日本代表の最初の対戦相手として一度限りの再結成を遂げたのです。

 

日本代表はキャプテンのFLリーチ マイケルを筆頭に、PR稲垣啓太、HO坂手淳史、NO8アマナキ・レレイ・マフィ、SH茂野海人、SO田村優、CTB中村亮土、CTBラファエレ ティモシー、WTBレメキ ロマノ ラヴァ、FB山中亮平など先発15人のうちワールドカップ19年大会のメンバーが13人を占める「経験」重視の布陣となりました(代表初招集の先発メンバーはWTBゲラード・ファンデンヒーファーのみ)。

 

加えて、同大会のメンバーから惜しくも落選したHO堀越康介、15年大会のバックアップメンバーだったPR垣永真之介という「カムバック」勢、そして若い世代からはSH齋藤直人、WTBシオサイア・フィフィタといった新戦力がリザーブ入りしました。

 

対するサンウルブズには、日本代表合宿に参加していたPR森川由起乙、HO庭井祐輔、LO長谷川崚太、LOヘル ウヴェ、NO8ベン・ガンター、SH荒井康植、WTB髙橋汰地らが入ったほか、かつてサンウルブズの一員だったFLエドワード・カーク、FL布巻峻介、SO山沢拓也といった屈指の実力者が並び、日本代表に対して最高のパフォーマンスを見せることになります。

 

前半序盤から攻めあぐねる時間帯が続いた日本代表にほころびが出たのは前半19分。サンウルブズSO山沢拓也がハーフウェイライン手前から前方へパントを上げると、日本代表が22mライン内でボールを処理しきれず、SO山沢が転々とするボールをドリブルするようにインゴールに向けて蹴り込むと、SH荒井康植がグラウンディングし先制トライ。サンウルブズが歓喜の輪を作ると、SO山沢が左隅からの難しい角度のコンバージョンキックを決めて、サンウルブズがまずは0-7とリードします。

 

前半31分に日本代表SO田村優がPGを決めて3-7としますが、ハーフタイム直前の39分、サンウルブズは敵陣でのラインアウトを起点にフェーズを重ねると、WTB尾﨑晟也が日本代表の防御網に鋭く切り込み、次のフェーズでCTBディラン・ライリーがインゴール寸前まで迫ると、WTB尾﨑の長い飛ばしパスを受けた途中出場のFB竹山晃暉がトライ。3-14とサンウルブズがリードを広げたところで前半終了となりました。

 

トライした竹山を中心に歓喜の輪を作るサンウルブズ。

トライした竹山を中心に歓喜の輪を作るサンウルブズ。(撮影/齋藤龍太郎)

追う展開となった日本代表はすぐにはピッチを後にせず、しばらくハドルを組んでからようやくロッカーへ引き上げていきました。後半からはPRクレイグ・ミラー、LOジャック・コーネルセン、WTBシオサイア・フィフィタを投入し、反撃を図ります。

 

後半6分、日本代表SO田村優はPGを狙うも不成功に終わりますが、11分、SHを茂野から齋藤直人に、SOを田村から松田力也に、FLをリーチからテビタ・タタフに替え、直後の14分にはPRをヴァル アサエリ愛から垣永真之介に、HOを坂手淳史から堀越康介に替えるなど次々とフレッシュな戦力を投入します。

 

すると後半20分、日本代表は敵陣5mラインでのラインアウトからモールで押し込みインゴールに接近すると、その最後尾につけていたHO堀越がモールの左サイドを突いてチーム初トライ。SO松田のゴールも成功し、10-14とビハインドを4点差に縮めます。

 

さらに後半25分、日本代表は5分前と逆サイドの敵陣5mラインでのラインアウトでマイボールをキープすると、走り込んだCTB中村亮土に向けてSH齋藤が鋭いパスを供給。サンウルブズが対応できないアングルでインゴールに切り込んだCTB中村がトライを決め、日本代表が17-14とついに逆転に成功します。

 

サントリーでもともに腕を磨いてきたSH齋藤→CTB中村のホットラインによるトライ。

サントリーでもともに腕を磨いてきたSH齋藤→CTB中村のホットラインによるトライ。(撮影/齋藤龍太郎)

後半28分にはサンウルブズFB竹山晃暉がPGを決め17-17の同点に追いつきますが、直後の30分、自陣からのハイパントを敵陣でマイボールにした日本代表はFLテビタ・タタフが左サイドライン際を力強く独走しトライ。22-17と再びリードします。

 

期待通り力強い突破とランでトライを決めたテビタ・タタフ。ディラン・ライリーのタックルは届かず。(撮影/齋藤龍太郎)

期待通り力強い突破とランでトライを決めたテビタ・タタフ。ディラン・ライリーのタックルは届かず。(撮影/齋藤龍太郎)

後半36分には日本代表SO松田がPGを決めて25-17とすると、ノーサイド間際の40分、日本代表は敵陣深い位置からのラインアウトモールでインゴール付近まで前進すると、HO堀越がこの試合2トライ目を決めて30-17。この時点で勝負ありとなりましたが、最後のSO松田のコンバージョンキックの際、サンウルブズは全員で「アウォ~ン!」の掛け声とともに出足鋭くプレッシャーをかけます。ゴールは成功し32-17で日本代表が勝利を収めましたが、特に序盤から中盤にかけてはサンウルブズの健闘が光った試合となりました。

 

試合後、日本代表のジェイミー・ジョセフHCはこのようにコメントしました。

 

「サンウルブズには自分たちよりも情熱、貪欲さがありました。それによって前半はパンチを食らった形になり、プレッシャーはかかっていたのですが、後半は調整をして巻き返すことができました」

 

「ハーフタイムは自分が持っている意見を率直に話し、その結果後半はいろいろと変更できたと思います。チャンスを作りながら得点につなげていくことができていました。SH

齋藤直人ら後半から入った選手たちはインパクトを与えてくれたと思いますので、前半にはなかったものをしっかり後半に発揮することにつながったと考えています」

 

「今まで長い間試合をやってこなかったことで、プレーで少し雑な部分が出る、コンビネーションがスムーズにいかない、といったことは想定していました。相手チームも半数は我々代表チームのメンバーですし、その戦い方は素晴らしかったですが、そのようなプレッシャーの中で自分たちがプレーしていくことは必要だと思いましたので、これから2週間かけて準備していきます」

 

「フィジカリティーの面では高いレベルの試合だったと思います。インテンシティー(強度)の高さが見られました。ブレイクダウンも攻防が激しく、その中で競争心やライバル意識を燃やすようなプレーが見られました。序盤、相手はプレッシャーをかけてきたのですが、後半にかけてはチームとして得点につなげることができましたし、改善できた部分だと考えています」

 

「(選手の入替自由のルールだったが)我々はテストマッチの準備をしていかないといけません。強化試合ということで、自分たちも選手たちもしっかりテストしたいという、選手たちがティア1のレベルでやる上では、プレッシャーの中でプレーしなければならず、そのプレッシャーをいかに乗り越えて自分たちのプレーをしていくか、ということを試したかったので、それが選手たちをプレッシャーのかかる状態でプレーさせた理由です」

 

また、日本代表FLリーチ マイケルキャプテンは、

 

「準備は一人一人が一生懸命、自分たちのやっているラグビーを意識しながらやってきました。2週間通してのプロセスもついてきています。今一番しなければならないのは『やってきたことを試合で出す』ことです。実行の部分が足りていません」

 

「ライオンズ戦に向けて日本代表が一番やらないといけないのは、スピードであったりボールキャリーのスピードであったり、全ての局面についてもう一度意識を上げないといけません。そのあたりを(これから)1週間通してやることになると思います。自分たちがそこを上手くできればブレイクダウンでも上回れるはずです」

 

と、次に向けてやるべきことを明確にしました。

 

日本代表は16日(木)に渡英し、26日(土)にブリティッシュ&アイリッシュ・ライオンズとスコットランド・エディンバラのBTマレーフィールドで歴史的初対戦を行います。

 

ブリティッシュ&アイリッシュ・ライオンズとは、イングランド、スコットランド、ウェールズ、アイルランドの4協会の代表選手からさらに選りすぐられた精鋭たちによって4年に1度だけ構成される誉れ高いチームです。4年ごとにニュージーランド、南アフリカ、オーストラリアに遠征し、基本的にこの3カ国(および各国の強豪クラブ)しか対戦することが許されない、対戦したチーム、選手にとっても名誉となるチームです。

 

夢の対決に向けて、日本代表の挑戦は続きます。

(取材・文・撮影/齋藤龍太郎)