日本代表、ワラビーズから2トライ挙げ追い詰めるも15-19で惜敗

10月25日(土)の「リポビタンDチャレンジカップ2025」、ラグビー日本代表は「ワラビーズ」の愛称で知られる強豪のオーストラリア代表をホームに迎え、2021年以来4年ぶりに対戦した。東京・国立競技場には雨のなか41,612人のものファンが集まり、秋のテストマッチ5連戦の初戦で「エディーJAPAN」がどのようなラグビーを見せるのか、終始見守り続けた。

キャプテンにはパシフィックネーションズカップでチームを牽引したLOワーナー・ディアンズが引き続きその重責を担い、7月までキャプテンを務めたリーチ マイケルはNO8として先発。ともに持ち前の高いパフォーマンスでチームへの貢献を誓った。

先手をとったのはオーストラリアだった。前半13分、FLニック・チャンピオン・デ・クレスピグニーnにトライを決められ、SOテイン・エドメドのゴールも成功。0-7とされる。19分には日本代表CTBチャーリー・ローレンス(途中出場)に反則の繰り返しによるイエローカードが出され、以後10分間は14人での戦いを強いられる。

日本代表の司令塔の地位を確立したSO李承信(撮影/齋藤龍太郎)

27分には日本代表SO李承信がPGを決め、3-7として反撃ののろしを上げたものの、直後の30分にはオーストラリアCTBジョシュ・フルックにトライを許す。3-14とリードを拡げられる。37分には日本代表PR竹内柊平が不当なプレーによるイエローカードとなり、日本代表は3-14のまま、しかも数的不利の状態で前半終了を迎える。

しかし後半、日本代表の再反撃の口火を切ったのは、10分間の一時的退出からピッチに戻ったばかりのPR竹内柊平だった。12分、敵陣ゴール前のラックからのSH藤原忍のパスを受けたPR竹内がキャッチし、力強くトライゾーンへ滑り込む。日本代表がこの試合で初トライを決めて、8-14と点差を縮める。

17分にはオーストラリアFLカルロ・ティッツァーノにトライを決められスコアを8-19とされるが、21分、日本代表は敵陣でのマイボールスクラムを起点にSH藤原が自ら仕掛け、トライライン寸前までゲインする。最後は追走していたFLベン・ガンターがボールを押さえてトライ。15-19と、日本代表が4点差まで詰め寄る。

ワラビーズに詰め寄るトライを決めた日本代表FLベン・ガンター(撮影/齋藤龍太郎)

その後も必死の攻防が続いた結果、両チームともに追加点を得られず、日本代表は15-19でオーストラリア代表に敗れた。通算対戦成績は0勝7敗と初勝利はならなかったが、同カード史上最少点差の記録的な接戦となった。

試合後の記者会見で日本代表のエディー・ジョーンズ ヘッドコーチは「Disappointed(残念です)」と2度繰り返した後に、こう続けた。

「どのあたりが残念だったかというと、やはり前半の(うち開始からの)30分でベストな状態のジャパンを見せることができず、そういうふうに(ジャパンらしく)戦うことができなかったことです。シンプルなことをしっかりとやるというところに非常に苦戦していました。オーストラリアがところどころでポールに対してプレッシャーをかけてきたところは卓越していました。反面、本当にうれしく思っているのはファイトをし続けて失速しなかったことです。勝てるところまで持っていくことができましたが力不足で今回は勝ちきれなかったっていうところが残念でありますが、この若手主体のチームにとっては非常にポジティブな収穫があった試合だと思います」

さらに続けて、

「収穫は、間違いなく世界の強豪国に対しても戦えると確信できたことです。特に後半は様々な局面でしっかりと戦って競り合いました。瞬間瞬間、一つ一つのプレーでしっかりと戦う、それをすることによって勝機が見えてきます。その点をこれからもどんどん強化していきたいと思っています。そしてそれは間違いなく1年前のジャパンにはできなかったことです」

とまとめた。また、LOワーナー・ディアンズ ゲームキャプテンは、

「前半、あれだけプレッシャーをかけられて、あれだけ自陣でプレーして2トライしか取られなかったことはすごく自信になりました。(自陣)ゴールライン(でのディフェンス)からいいイグジットができて、それが後半の自信につながりました。自分たちはスピードやフィットネスに自信を持っているので、それを後半に入ってから出すことができました」

と振り返り、一定の手応えをかみしめていた。この惜敗をベンチマークに、日本代表はさらなる高みを目指す。

取材・文・写真撮影/齋藤龍太郎(楕円銀河)

関連記事

最新の記事

TOP