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【日本代表快勝】山田トライ!山沢デビュー!韓国戦で見えた成長と課題

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4月29日(土)、夏のような陽気と日差しのなか秩父宮ラグビー場で行われたアジア・ラグビー・チャンピオンシップ(ARC)第2戦、韓国代表との再戦は日本代表80-10韓国代表という結果になりました。4月22日のアウェーでの第1戦も47-29で日本代表が勝ちましたが、途中までは接戦となり要所要所で韓国代表のアタックに苦しめられる展開。そこから修正したことをうかがわせる結果となりました。

 

WTBアマナキ・ロトアヘア選手は3トライを決めハットトリックを達成。

 

スーパーラグビー・サンウルブズと並行して活動中の若手中心の「ヤングジャパン」。WTBアマナキ・ロトアヘア選手のハットトリック(3トライ)を含む計12トライで、韓国代表のトライを2つに抑えた快勝と見てよさそうですが、ジェイミー・ジョセフHCとキャプテンのSH流大選手はどう見たのでしょうか。

 

まずはジョセフHCの試合後のコメントです。

「前回のパフォーマンスから改善したプレーを見せたチームを誉め称えたいです。コーチし甲斐のあるチームで、前回の試合を振り返り、選手たちが責任を持って、しっかりハードトレーニングをした結果だと思います。今回はディフェンスが機能して、失トライを2つに抑えられた。得点は80点を上げたが、もっとトライをとれた。トライをとれなかった場面は、ボールキープができなかったか、選手たちが自分でトライを取りに行く無理なプレーをしたからで、そのあたりが次の試合への課題になるでしょう」

 

続いてキャプテンのSH流選手。

「前回の試合は良くなくて、僕自身のパフォーマンスも良くなかった。そのなかで1週間、覚悟を持って準備をして、全体的に態度の部分を改善できて良かったと思います。ただ、内容を見ると、トライをとられた場面は集中力が切れていましたし、アタックに関しても、もっともっとボールの動かし方を改善しないといけないところがあるので、5月6日(香港代表戦)には、もっと成長した姿を見せられると思います」

 

ともに改善への手応えを感じながらも、内容面では反省すべき点が多かったようです。6月や11月のテストマッチ、ひいては2019年への日本代表として生き残るためには、コーチの立場からすれば選手の層を厚くして強化を押し進めるためには、まだまだ課題があるということを自覚しているわけです。

 

なお、特に層が厚いSHについて、ジョセフHCはこうコメントしています。

「SHは日本のストロングポジションで、田中(史朗)、矢富(勇毅)、内田(啓介)、茂野(海人)と素晴らしい選手がそろっているが、そのなかに流も入っている。日本ラグビーにとって、将来性のある有望なポジションだと思う」

 

流選手については、より具体的に言及しました。

「サントリーでもキャプテンシーを発揮していたし、リーダーとしても非常に能力を発揮しています。このチームが、この先成長するには強いリーダー陣が必要ですが、そのなかの1人になると思っています。今週は非常に安定したパフォーマンスを見せてくれた。素晴らしい運動量と仕事量、それから球のさばきも素晴らしかったです。リーダーとしても、チームを引っ張ってくれました」

 

チームを牽引したSH流大キャプテン。前半20分には代表初トライを決めました。

チームを牽引したSH流大キャプテン。前半20分には代表初トライを決め、WTB山田章仁選手らに祝福されました。

 

ヤングジャパンのキャプテンとして、リーダーグループの一人として、アタックの要として存在感を増している流選手。前日本代表HCのエディー・ジョーンズ(現イングランド代表HC)にも高く評価されてからも成長は著しく、今季はサンウルブズにも一時追加招集されたこともあり、今後ますますの活躍を期待したくなります。

 

そして、前半32分に今季初トライを決めたWTB山田章仁選手についても、ジョセフHCは高く評価しました。

「山田は非常に素晴らしい選手です。今日は久しぶりの出場でしたが、WTBには、サンウルブズの選手も含めて、非常に素晴らしい選手がいます。今日はロトアヘアをWTBに使ったが、若手の尾崎(晟也)や野口(竜児)も成長しています。非常に競争率の高いポジションです。ただ、テストマッチで戦うWTBは、スピードと経験値とXファクターが物を言う」

 

山田選手がXファクター、つまり「プラスアルファの特別な要素(を持っている選手)」であることは、日本代表や昨季のサンウルブズでも証明済みと言えるでしょう。もちろんジョセフHCは誰がXファクターを持っているか明言したわけではなく、それを誰が備えているかはこれから見極めていくことになるわけですが、その言葉からは山田選手への信頼感が感じられました。

 

前半32分、今季初トライを決めたWTB山田章仁選手。高い決定力を証明しました。

今季初トライを決めたWTB山田章仁選手。高い決定力を証明しました。

 

当の山田選手は、

「僕のトライは、チームとしていいアタックができたので、僕はボールを置いただけでした(笑)。今は、積極的に若い選手とコミュニケーションをとりながら、試合で出た課題を1つひとつクリアするようにしています。今日の試合で課題が見えたところも、来週に向けて1つひとつクリアすることになると思います。個人的には、スタートの試合として非常に良かった。ただ、自分自身では、もっとチームのなかに入り込むのが課題だと思っています。日本のWTBのレベルを上げたいですね」

と、自身のチームへのフィットと同時にWTBのレベルを引き上げを明言しました。日本代表にとってもそう言い切れることができるだけの存在になっていることの証左でしょう。

 

また、この試合で初めてリザーブ入りしていたSO山沢拓也選手が後半10分から出場し、日本代表初キャップを獲得したことも大きなトピックスです。冷静かつ的確なマネジメントでラスト30分のゲームメークを担ったほか、5本のコンバージョンゴールもすべて成功させるなどキッカーとしてもその実力を大いに発揮しました。

 

初キャップを獲得したSO山沢拓也選手。今後も期待したくなる堂々たるプレーぶりでしたが、自己採点はかなり低めでした。

 

しかし自己評価はかなり低め。山沢選手のコメントです。

「(初キャップということは)特に意識しないでピッチに入りました。比較的点差も開いていたので、もっと点差を広げることと、相手のエリアで戦うことを考えていました。個人的には、細かいミスが多かったですね。(自分のパフォーマンスを採点すると)40点ぐらいですね。マイナス60点は、ミスが多かったことです。(コンバージョン)キックは、風が助けてくれました。自分の蹴りたいところに蹴るコントロールがあれば、風が吹いても大丈夫ですが、今日は最初の1本で上手く調整できました。SOは、すごく競争率が高いポジションなので大変だと思いますし、まだ(代表に)行けるレベルだとは自分でも思っていないので、ARCを通じて成長していきたいです」

 

こうして自身で見出している多くの反省点が、今後の成長に間違いなくつながっていくことでしょう。いずれは10番を付けることになろう逸材の活躍に、これからも注目したいところです。

 

そして今週末もホームゲームです。5月6日(土)14時07分からARC第3戦、日本代表vs香港代表が秩父宮ラグビー場で行われます。ゴールデンウィーク最後の土曜、ぜひ現地で観戦してみてはいかがでしょうか。

 

<取材・文・撮影/齋藤龍太郎(楕円銀河) 取材協力/永田洋光>