このままじゃまずい、本当に大丈夫か──。
スタンド中のファンが、テレビで視聴していたみなさんが、きっとそんな思いを共有していたに違いありません。
5月6日(土)に東京・秩父宮ラグビー場で行われたアジアラグビーチャンピオンシップ2017、日本代表vs香港代表は29−17で若いメンバー主体のヤングジャパンが、ランキングの差の上では順当に勝利しました。しかし勝ち方に関して言えば順当だったとは言えず、後半21分にCTB 鹿尾貫太選手のタックルをきっかけにWTB山田章仁選手がトライを決めて同点に追いつく場面まで、日本代表は12−17と5点のビハインドを抱えていました。
同点に追いついてから、ようやく日本代表のアタックが機能し始めます。後半28分には後半から出場の共同キャプテン、HO堀江翔太選手が、ゴール前で鋭い角度で走り込み絶妙なパスを受けてトライ(SO松田力也選手のゴール成功で24−17)。
37分にはもう一人の共同キャプテン、CTB立川理道選手が相手ディフェンスともつれながらインゴールに飛び込んでトライ。まさかの黒星という危機的展開から脱し、29−17で勝利。しかしアタックはもちろん、香港代表にいとも簡単に突破されるなど、ディフェンス面での課題を多く見受けられる試合となりました。
試合後、日本代表ジェイミー・ジョセフHC、そして立川キャプテンがどう試合を振り返るか、気になる記者会見となりました。
ジョセフHC「香港代表は非常にフィジカルで、激しいプレーを80分続けたことに正直驚いています。ラインスピードも早く、バックスのタックルも非常に激しく、ブレイクダウンでもボールに対するコンテストが激しく行われていました。非常にタフな試合になりました。しかしチームに必要な、ためになった試合だと思います。選手たちがこのレベルのラグビーにどう臨んでいたか再確認できました。しかし、乱れかけたところでリーダーたちがチームを元に戻し、プレーし続けてくれたことはうれしく思っています。ここに座っている立川もしっかりと仕事し、我々の規律を保ってくれました。サンウルブズとの兼ね合いで戦力が限られている中、褒め称えたい選手は初キャップとなったCTB鹿尾貫太です」
CTB立川共同キャプテン「ジェイミーからも話があったように、非常にタフなゲームでした。(試合を)やっている中でなかなか点を取れない展開が続いていたのですが、僕だけではなく他のリーダー陣や選手がしっかり立て直してくれたおかげで最後勝ち切れたのだと思います。キャップ数が少ないメンバーでこういう試合ができたことは収穫だったと思います」
見ている側も薄々感じてはいましたが、やはり香港代表のアタック&ディフェンスの強度、激しさが想定以上のものだったこと(やはりエディー・ジャパンでディフェンスコーチを務めたリー・ジョーンズ香港代表HCの指導は本物です!)、そしてその圧力を受けながらも試合中に立て直し反撃できたこと、HC、キャプテンともにそこへの手応えを強く感じていたようです。もちろん課題は多く見られましたが、それ以上にキャップ数の少ない、すなわち経験の浅いメンバーでここまでできた、ということへのある種の満足感を強く感じたコメントでした。
13日(土)、敵地で行われる香港代表戦では特にディフェンス面での反省がどこまで修正されるかが見どころとなりそうです。6月のテストマッチに向けて、いい締めくくりになる試合内容にしてほしいと思っています。
<取材・文・写真/齋藤龍太郎(楕円銀河)>