9月7日(土)、環太平洋の6カ国が王座を争う「アサヒスーパードライ パシフィックネーションズカップ 2024」のプールB、日本代表vsアメリカ代表の一戦が熊谷ラグビー場(埼玉県)で行われた。ともにカナダ代表相手に勝利を収めた両チームにとって、勝った方がプール1位通過で準決勝へと進む重要な一戦となった。
日本代表はカナダ戦に続いてSH藤原忍とSO李承信のハーフ団が「超速ラグビー」の心臓部を担い、キャプテンのSO立川理道をリザーブに据える形でキックオフを迎えた。
前半、開始間もない5分にSO李がPGを決めて3-0と日本代表が先制に成功する。さらに15分、SO李の相手ディフェンス裏へのキックをCTBディラン・ライリーがキャッチすると、そのパスを受けたCTBニコラス・マクカランがトライ。SO李のゴールも成功し10-0とリードを広げる。
18分にはアメリカSOルーク・カーティーのPGで3点を返され10-3とされたものの、日本代表はすかさず反撃。23分にはCTBライリーのゲインでゴール前まで迫り、LOサナイラ・ワクァがインゴールに体をねじ込みトライ。17-3と再びリードを広げる。
30分には相手に初トライを許し17-10とされた日本代表は、37分に負傷したHO坂手淳史に代わって入ったHO原田衛が交代直後の38分にトライを決めて、24-10としたところで前半終了を迎える。
後半も日本代表のアタックが冴え渡る。5分、自陣22mライン前方でパスを受けたCTBライリーが再びそのランニング能力を見せてビッグゲイン。70m以上を駆け抜けてインゴールへ飛び込み、スコアを31-10とする。
その後はアメリカWTBネイト・オウグスバーガーに2連続トライを許し31-24と再び7点差に詰め寄られた日本代表だったが、22分にSO李がPGを決めて34-24とする。
さらに直後の26分、日本代表は敵陣でのマイボールラインアウトを起点に仕掛け、途中出場のSO立川キャプテンがランとオフロードパスでチャンスを作り、そのボールをキャッチしたCTBライリーからのパスを受けたWTBマロ・ツイタマがとどめのトライ。41-24で日本代表が勝利を収め、準決勝へのプールB1位通過を決めた。
マン・オブ・ザ・マッチには3試合連続トライを決めたほかトライアシストなどでも貢献したCTBディラン・ライリーが選出された。
試合後の記者会見で、日本代表エディー・ジョーンズ ヘッドコーチは、
「パシフィックネーションズカップの2試合を終えた今、望んでいた形で勝つことができていると思っています。もちろん修正しなければいけない点はあり課題もありますが、今日に関しては9番(SH)の内側で10番(SO)の李がとてもいいプレーをして、我々をさらに一歩前に進めてくれたと実感しています」
と勝利という結果と試合内容への一定の満足感を示した。
SO立川理道キャプテンは、
「(後半に連続)トライを獲られてからは『シンプルなことをしっかりとやっていくのが大事』という話をしました。プレッシャーがかかる場面では自分たちにプレッシャーをかけるのではなく、相手にしっかりプレッシャーをかけることだ、と全員に伝えることができましたし、何よりも『全員が同じ画を見ることが大事』というシンプルなメッセージがうまくいった要因になったと思っています」
と振り返った。
準決勝から決勝へ駒を進められるか。日本代表の戦いは続く。
取材・撮影・文/齋藤龍太郎(楕円銀河)