日本代表、ウェールズに24-19で逆転勝利!12年ぶり2度目の白星で第2戦へ弾み

7月5日(土)、試合前時点でワールドラグビーランキング13位の日本代表にとって今年初のテストマッチ、「リポビタンDチャレンジカップ2025」日本vsウェールズ(同12位)の一戦がミクニワールドスタジアム北九州(福岡県北九州市)で行われた。

JAPAN XVとしてマオリ・オールブラックスと対戦してから1週間、その敗戦を糧にしながら準備を進めてきた日本代表にとっては、今年行われる予定の2027年のラグビーワールドカップ・オーストラリア大会のプール組分け抽選でバンド2(同7~12位)に入り組み合わせを有利にするためにも、極めて重要な2連戦となる。

メンバーは、日本ラグビーを長年背負ってきたFLリーチ マイケルがキャプテンとなったほか、LOワーナー・ディアンズ、FLジャック・コーネルセン、SO李承信、CTBディラン・ライリーといったワールドカップ経験者が揃った。また、PR紙森陽太、WTB石田吉平が先発で初キャップを獲得するなど、経験値の高い選手とフレッシュな顔ぶれがブレンドされたメンバー構成で世界屈指の伝統国に挑んだ。

ウェールズも今ツアーのキャプテンのHOデヴィ・レイクを、NO8タウルペ・ファレタウ、2019年ワールドカップ日本大会のトライ王のWTBジョシュ・アダムスといった強力な布陣で、同大会で慣れ親しんだ北九州での第1戦に臨んだ。

先制はウェールズだった。前半4分、ラインアウトを起点にCTBベン・トーマスに早々とトライを決められ、SOサム・コステロウのゴール成功でスコアを0-7とされる。

しかし16分、日本代表は敵陣22mライン近くのラインアウトを起点に素早くパスをつなぎ、ボールを持ち出したSO李からWTB石田、最後はFB松永拓朗にパスが渡ってトライ。SO李のゴールも決まり。7-7の同点に追いつく。

WTB石田吉平(左)のラストパスを受ける直前のFB松永拓朗。日本代表の最初のトライを決めた(写真/齋藤龍太郎)©JRFU

素晴らしいアタックを見せ、勝ち越しに向けて視界良好かに思えた日本代表だったが、直後の20分、FB松永に代わって途中出場し代表デビューしたばかりのFB中楠一期がウェールズのトライチャンスで故意にボールに触り外に出したとTMOの末に判定されイエローカード。これによりウェールズにペナルティトライが認められ、7-14と再び7点ビハインドとなる。22分にもウェールズWTBトム・ロジャースにトライを決められたことで、7-19とさらに点差を広げられる。28分には日本代表のトライに見えたシーンはTMOでノートライとなり、7-19のまま前半終了を迎える。

アタックを組み立て、キッカーとしても貢献したSO李承信。給水を担当したのはSH齋藤直人(撮影/齋藤龍太郎)©JRFU

12点差を追う日本代表は、フィジカル面の疲労の蓄積と猛暑による消耗が進む後半に真価を発揮する。後半9分のNO8ベン・ガンターのトライはTMOの結果キャンセルとなったものの、疲れが表面化しがちなラスト20分が迫っていた後半19分、敵陣深い位置でチャンスを作った日本代表はラックからSH藤原忍が素早くパスアウトし、そのパスを受けたSO李がタックルを受けながら広報のFB中楠にボールを渡すと、そのままFB中楠が勢いよく走り込み、代表初トライ。14-19と5点差に迫ると、24分にはSO李がPGを決めて17-19とついに2点差につける。

途中出場で初キャップとなったFB中楠一期が代表初トライ。一気に点差を詰めた(撮影/齋藤龍太郎)©JRFU

そして30分、日本代表は敵陣5mライン付近のラインアウトからモールで前進すると、ボールを持ち出したWTBハラトア・ヴァイレアが持ち前の脚力を活かして代表デビューの一戦で代表初トライ。SO李のゴールも決まり24-19とした日本代表は最後までウェールズの反撃を許さず、5点リードを保ったままノーサイド。2025年初のテストマッチで幸先よく勝利を収め、宮崎などで腕を磨きチームとして成長した姿を世界に見せつけた。

79分間プレーしたSH藤原忍が最善のプレー選択をし続けたこと、そして先発フロントローのPR紙森陽太、HO原田衛、PR竹内柊平が80分間戦い抜きFW全員でスクラムを制したことも勝因のひとつとなった。

写真のPR竹内柊平と、PR紙森陽太、HO原田衛のフロントローは80分間フル出場でセットプレーの安定に貢献(撮影/齋藤龍太郎)©JRFU

試合後の記者会見で、エディー・ジョーンズHCはチーム、選手のパフォーマンスを称えた。

「若手で構成されたチームにとって、この勝利は非常に良いものだったと思います。前半は若干緊張もあったのかテリトリーやポゼッションで負けており、ボールを簡単に相手に渡してしまうシーンも多くあったので、そういう面から見ても完全に負けているような状況でした。しかしハーフタイムに選手たちの目を見たときにその中に光を感じました。彼らは後半何をするべきか、これからどう戦うべきかを確信しており、いけると感じたのです。そして、リーチマイケルのキャプテンシーがチームをしっかりとリードしてくれて、タフな後半の40分間を戦い抜いてくれた結果だと思います。ディフェンスで相手を崩し、翻弄し、スピードのあるプレーをしました。セットピースも安定しており、フロントローの3人(PR紙森陽太、HO原田衛、PR竹内柊平)が80分間フル出場したのは久しぶりのことだと思いますが、このコンディションの中でよくやったと思います。ウェールズという国はラグビー強豪国で、なかなか勝つことができない手強い相手だからこそ今日の勝利とは非常にうれしく思いますし、今夜はしっかりとこの勝利を味わいたいと思いますが、喜んだ後は神戸での試合が控えているので、今日よりもさらにいい試合ができるように調整していきたいと考えています」

FLリーチ マイケル キャプテンも勝利の喜びをかみしめていた。

「空港に着いてから全国から来た多くのファンに期待してもらい、それに応えることができて本当にうれしいです。今日の勝因は1週間準備したことで、どうやって勝つか意見を交わしたりしました。試合に出た選手もいれば出ていない選手もいる中で、今日の勝利はチーム全体にとって非常に大きいもので、この勝利によって勢いづくと思います。この試合が大切であることは一人ひとりがわかっていました。来週の神戸での試合に向けてさらにいい準備をしたいと思います」

7月12日(土)は兵庫県神戸市のノエビアスタジアム神戸で再びウェールズと激突する。テストマッチ18連敗を喫したウェールズは伝統国の意地を見せるべく目の色を変えて再戦に臨むはずだが、それをも跳ね返す日本代表の高いパフォーマンスに期待したい。

取材・撮影・文/齋藤龍太郎(楕円銀河)

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