日本代表、ウェールズに22-31で敗れ連勝はならず…収穫と課題を受け止めPNCへ

7月12日(土)、「リポビタンDチャレンジカップ2025」日本vsウェールズの第2戦がノエビアスタジアム神戸(兵庫県神戸市)で行われた。同5日(土)の第1戦は日本代表がウェールズを12年ぶりに撃破し、第2戦は対ウェールズのみならず対ハイパフォーマンスユニオン初の連勝をかけた一戦となった。

日本代表はSHにフランスのTOP14で優勝を果たしたばかりの齋藤直人、右PR為房慶次朗、No.マキシ ファウルアが先発したほか、第1戦でリザーブから初キャップのWTBハラトア・ヴァイレアとFB中楠一期が代表初先発。新たな布陣で連勝を目指した。

フランスでの成長を経て今季代表初先発のSH齋藤直人(撮影/齋藤龍太郎)©JRFU

しかし、先制は第1戦に続いてウェールズだった。前半9分にWTジョシュ・アダムスにトライを許し、SOダン・エドワーズのゴール成功でスコアを0-7とされる。

24分には日本代表SO李承信がPGを決めて3-7としたものの、28分にはウェールズSHキーラン・ハーディに1トライを返されると同時に、No.8マキシにイエローカード。3-14とリードを広げられただけでなく10分間の数的不利の状況を強いられる。36分には再びウェールズSHハーディのトライで3-21と突き放される。

第1戦に続き司令塔の重責を担ったSO李承信(撮影/齋藤龍太郎)©JRFU

それでも日本代表は再び15人揃った直後の前半40分、敵陣5mラインでのマイボールラインアウトで初キャップのHO江良颯のスローイング、LOエピネリ・ウルイヴァイティのキャッチから流れるようなアタックを見せる。ボールを持ったFLリーチ マイケルキャプテンからパスを受けたCTB中野将伍がトライラインに迫るランを見せ、ラックからSH齋藤のパスをもらった途中出場のPR竹内柊平が一度タックルを受けながらダウンボール後再び前進し、トライ。SO李のゴールも決まり、10-21と点差を11点に詰めたところで前半終了となる。

2試合連続先発フル出場し終始チャンスメークし続けたCTB中野将伍(撮影/齋藤龍太郎)©JRFU

前半終了間際に反撃のトライを決めるPR竹内柊平(撮影/齋藤龍太郎)©JRFU

後半に入り、9分にウェールズSOエドワーズにPGを決められ10-24とされた日本代表は、その後ようやく反撃に転じる。18分、LOワーナー・ディアンズのキックチャージを皮切りに敵陣へ攻め入りフェーズを重ねた日本代表は、ゴール前での攻防から19分にLOディアンズがトライラインにボールをねじ込み、TMOの結果トライ。15-24と9点差にする。

さらに直後の22分、ウェールズのパスが乱れこぼれたボールを日本代表CTBディラン・ライリーが拾い上げ、一気に独走してトライ。22-24と2点差に詰め寄り、逆転可能なシチュエーションに持ち込む。

相手の一瞬の隙を見逃さずドライを決めたCTBディラン・ライリー(撮影/齋藤龍太郎)©JRFU

しかし35分にウェールズSOエドワーズにトライを決められ、22-31とされるとその後はスコアできないままノーサイド。日本代表は一時2点差としたものの逆転勝利、連勝はならなかった。一方のウェールズはテストマッチの連敗を18で止めた。

試合後の記者会見で、エディー・ジョーンズHCはこのようにコメントした。

「まずはウェールズにおめでとうございますと言いたいと思います。ジャパンについては、スクラムでコンテストが全くできなかった、させてもらえなかったことに本当にがっかりしています。ラグビーは一つ一つのコンテストから成り立っているゲームなのですが、それにも関わらず我々が有利な立場になれる一つのコンテストを取り上げられてしまったことは本当に残念です。また、空中(ハイボール)でのコンテスト、そしてラインアウトのコンテストでも相手に上回られてしまったことで試合に負けるという結末を迎えました。試合中に勢いや流れを失ってしまったり、自分たちのゲーム運びができなくなったときには何かを変えなければなりません。そのために選手を変えるという手段があります。そこで今回は1、2、3番(フロントロー)を変えることになりました。彼らが入ってからゲームを取り戻すことができ、自分たちの展開ができるようになりました」

FLリーチ マイケル キャプテンは悔しさをあらわにしつつ、今後の抱負も語った。

「試合を通しで自分たちの流れを作れているときと作れていないときがあって、それがプレッシャーになったり相手にプレッシャーをかけたりしたけれど、連戦で勝つことの難しさをチームとして肌で感じたので、 それは一つの(得られた)ポイントかと思います。この結果には本当に悔しい思いをしていて、先週は勝って今週は勝てる試合を落としてしまったことが非常に悔しいです。ただ、これで終わりではないし、この結果もさらに(今後に向けて)バネになると思うので、 結果をしっかり受け止めてPNC(パシフィック・ネーションズカップ)に向けて準備したいと思います」

持ち前のタックルに加えアタックでも随所で活躍したFLリーチ マイケル キャプテン(撮影/齋藤龍太郎)©JRFU

日本代表はオフを経て、8月開幕のPNCに向けて再び始動する。ウェールズ戦2連戦で得た自信と課題を活かし、昨年準優勝に終わったPNCでの優勝を目指すことになる。

取材・文・写真撮影/齋藤龍太郎(楕円銀河)

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