「リポビタンDツアー2025」の初戦で南アフリカと対戦する日本代表がキャプテンズランを行ったウェンブリー・スタジアム(ロンドン)で、横浜キヤノンイーグルス前監督の沢木敬介氏と九州電力キューデンヴォルテクスのWTB山田章仁選手による記者会見が行われた。
2015年のラグビーワールドカップ・南アフリカ戦で歴史的を勝利を挙げた日本代表で、沢木氏はコーチングコーディネーターを、WTB山田選手は先発をそれぞれ務めた仲だ。その一戦に向かう際の心境についての質問から、現日本代表へのアドバイスが飛び出した。
山田 あのときの日本代表は今のように強くなかったのですが、私個人としてはあの試合は「楽しめるように」と臨みました。一番出たかった初戦に出させてもらったので、スタジアムと一体感を作りたいな、という思いでした、明日の相手は(今や世界ランキング1位の)強豪国ですから僕のように「楽しむ」という感覚はないかもしれませんが、しっかりと責任感を持ってやってくれると思います。勝つようなマインドで臨んでいただきたいです。
沢木 2015年(の南アフリカ戦)のWTBは山田じゃなくて(福岡)堅樹とか藤田(慶和)が出ることになっていたのですが、「山田はビッグゲームに強いから、山田と松島で(いこう)」とエディーに話したのを覚えています。今の選手でいうとPR竹内柊平、あとはLOワーナー・ディアンズがキャプテンになってからパフォーマンスがよくなりました。プレッシャーで(逆に)よくならない選手もいますが、責任が増してパフォーマンスが上がる選手もいます。
望ましい展開についても質問が飛んだ。
山田 最初の40分で点数を取っておきたいですね。1トライ、できれば2トライ欲しいところです。竹内のプレーが気になるので、彼のような選手が活躍すればそうなるのではないでしょうか。
沢木 絶対条件はセットピース(の安定)ですね。最近、ラインアウトが「ここから勢いに乗っていくぞ」というところでとれていませんので。また、今スクラムが世界一強いのは間違いなく南アフリカなので、相手に「(スクラムを組んでみて)少し印象が違うな」というズレを感じさせれば、いい入りになるのではないかと思います。
また、沢木氏がイーグルスの監督として約半年前まで指導していたWTB石田吉平選手について、両氏はこう答えた。
沢木 ディフェンスは思い切りよくできていますが、スペースの駆け引き、ポジショニングのところをもう少し学んでいかないといけません。山田のようなずる賢さも必要です(笑)。
山田 (同じWTBとして見ても)本当にいい選手なので、これからはもっと引き出しを増やして、ランやディフェンスの駆け引きなどWTBとして成長できるところがあると思います。
世界屈指のフットボールの聖地ウェンブリーで、10年前の再現はなるか。
取材・文・写真/齋藤龍太郎(楕円銀河)
