【ウェールズ戦前日会見】試合を「楽しむ」!7万人の前でアップセットは起きるか

「勝機はある」ウェールズ代表との大一番を前に日本代表CTB立川理道ゲームキャプテンは力強くそう答え、「何が起こるかはわかない」とジョセフHCも同調。金星をつかむ──そんな自信を感じさせる会見となりました。

 

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練習前に円陣を組むラグビー日本代表。締まった雰囲気のなか始まりました。

 

 

日本時間きょう夜キックオフのウェールズ代表vs日本代表(カーディフ/プリンシパリティ・スタジアム)。すでに7万枚以上(一説にはほぼ満席の74000枚!)のチケットが売れているという現地でも注目の試合ですが、先ほどその前日練習が行われ、報道陣に開始10分間のみ練習が公開されました。SH田中史朗選手の掛け声でのダッシュ、そしてラインアウトからのアタックの確認を見届けて、会見場に移動し待機すること数十分。ジェイミー・ジョセフHCと立川理道ゲームキャプテンが姿を現しました。多くは日本のメディアでしたが、BBC含め現地メディアも数社おり、昨年のラグビーワールドカップで日本代表が残したインパクトの大きさを感じさせました。

 

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現地メディアからの質問が多かったことからも注目度の高さがうかがえます。

 

最初の質問は現地の記者から。ウェールズ代表のメンバーを見てどう思ったか」でした。68キャップのFLサム・ウォーバートン選手がキャプテンに復帰し(先々週のオーストラリア戦、先週のアルゼンチン戦はPRゲスィン・ジェンキンズ選手がキャプテンでした)、先発15人の総キャップ数616(日本代表は342)という経験豊富なメンバーをそろえた「レッドドラゴンズ」について、ジョセフHCは、

「キャプテン(ウォーバートン)が入っているということは、日本戦に対して真剣勝負で挑んできているということ。そして我々にとってもこのスタジアム(ウェールズ代表のホーム、プリンシパリティ・スタジアム)で試合できるということは素晴らしい機会です」

と、危機感や緊張感よりも「楽しみ」であることを強調。昨年のラグビーワールドカップでのパフォーマンスを期待している現地メディアからの質問には、

「この新しいチームには17名の新人が入っています。すぐには昨年と同じようなパフォーマンスをできないかもしれませんが、非常に経験値の高いリーダーたちが上手くチームを引っ張ってくれている。そして選手たちはみなハングリー精神とパッションを持って、満員の観客の前で思い切ってプレーしてくれると信じています

と選手への信頼を見せました。一方、ゲームキャプテンの立川選手は、

「『楽しみたい』ということですね。7万人のスタジアムではなかなか試合できないですし、経験値が少ない選手もいますが、みんなで楽しむために体を張って、日本代表のプライドを持って戦いたい

と、ここでも「楽しむ」と言うキーワードが出ます。勝つために必要なことを問われると、

「自分たちの形やシステムを信じて戦うことが一番大事。相手が自分たちのラグビーでパニックすれば勝機はあると思います」

と力強く明言。それに同調するようにジョセフHCも、

「アップセットゲームができる雰囲気を選手は持っています。自分たちは準備万端です。そして一人一人の仕事もクリアになっています。それは今週1週間の練習でしっかり落とし込みができたから。アルゼンチン戦はタフな試合(●20−54)になりましたが、ジョージア戦ではあのような結果(◯28−22)が出せました。ただ、ウェールズ戦ではジョージア戦とはまた違う戦い方をするので、相手にプレッシャーをかけてどんどんこちらの展開に持っていければ、何が起こるかはわかりません

と勝利への密かな自信を見せ、会見を締めくくりました。

 

地の利、経験、ランキング。あらゆる面で日本代表は劣勢に立たされています。難しいゲームになることは確かですが、勝つためにはジョセフHCの言う「落とし込みができた」という部分を出し、最後まで接戦に持ち込むことだと思います。HCとキャプテンが口をそろえる「楽しむ」ラグビーは開花するでしょうか。日本時間きょう23時30分キックオフの大一番は、JSPORTSと日本テレビ系(地上波)で生中継されます。

 

【ラグビー日本代表・11/19(土)ウェールズ戦(カーディフ)メンバー】

◎はキャプテン・☆はゲームキャプテン

1/仲谷 聖史(ヤマハ発動機)2キャップ

2/◎堀江翔太(パナソニック)46キャップ ※RWC2011・2015代表

3/畠山健介(サントリー)76キャップ ※RWC2011・2015代表

4/梶川喬介(東芝)2キャップ

5/アニセ サムエラ(キヤノン)2キャップ

6/マルジーン・イラウア(東芝)2キャップ

7/布巻峻介(パナソニック)1キャップ

8/アマナキ・レレイ・マフィ(NTTコム)11キャップ ※RWC2015代表

9/田中史朗(パナソニック)56キャップ ※RWC2011・2015代表

10/田村優(NEC)40キャップ ※RWC2015代表

11/福岡堅樹(パナソニック)18キャップ ※RWC2015代表

12/◎☆立川理道(クボタ)48キャップ ※RWC2015代表

13/ティモシー・ラファエレ(コカ・コーラ)2キャップ

14/山田章仁(パナソニック)16キャップ ※RWC2015代表

15/松島幸太朗(サントリー)20キャップ ※RWC2015代表

<リザーブ>

16/日野武志(ヤマハ発動機)0キャップ

17/山本幸輝(ヤマハ発動機)2キャップ

18/伊藤平一郎(ヤマハ発動機)2キャップ

19/ヘル ウヴェ(ヤマハ発動機)2キャップ

20/松橋周平(リコー)1キャップ

21/三村勇飛丸(ヤマハ発動機)1キャップ

22/内田啓介(パナソニック)19キャップ

23/アマナキ・ロトアヘア(リコー)2キャップ

 

 

<取材・文・写真/齋藤龍太郎(楕円銀河)>

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