ラグビーワールドカップ・オーストラリア大会開幕まで約2年となった2025年、エディー・ジョーンズHC(ヘッドコーチ)率いる日本代表は宮崎合宿で研鑽を積み、6月28日(土)、同年の初戦として「リポビタンDチャレンジカップ 2025」JAPAN XV vsマオリ・オールブラックスの一戦を迎えた。
昨年も2度対戦したマオリ・オールブラックスはニュージーランドの先住民族マオリ族の血を引く選手による代表チームで、主にスーパーラグビー・パシフィックで活躍した選手によって構成される準代表の側面を持つメンバーだ。JAPAN XVの昨年に続いての勝利を期待するファンが会場の秩父宮ラグビー場に詰めかけ、最終的な観客数は19,792人にのぼった。

ジャパンの躍進を願うファンの応援を背に受けながらJAPAN XVは、前半序盤から攻守ともにアグレッシブに試合を進め、宮崎での入念な準備をうかがわせた。すると9分、JAPAN XVは自陣で相手のこぼれ球を拾うとすかさずアタックに転じ、SOサム・グリーンがゲイン。CTBチャーリー・ローレンス、CTBシオサイア・フィフィタとつないで、そのラストパスを受けたWTB植田和磨が走り切って先制トライ。SOグリーンのゴール成功で、スコアを7-0とする。

20分にSOグリーンがPGを決めて10-0とリードを広げた直後の23分、マオリ・オールブラックスWTBコール・フォーブスに1トライを返され(10-5)、さらに28分にもCTBギデオン・ランプリングのトライにより10-10と同点に追いつかれる。
それでもJAPAN XVのアタックは引き続き冴えていた。32分、JAPAN XVは敵陣深い位置まで攻め入ると再びWTB植田和磨にボールが渡り、この試合2トライ目を決める。17-10とリードを再び7点としたが、35分にマオリ・オールブラックスHOカート・エクランド キャプテンにトライを許す。それでも17-15と2点リードして前半終了を迎える。

アタックやスクラムが十分通用することを証明した前半の勢いを後半も見せ続けたいJAPAN XVだったが、後半開始早々の3分にマオリ・オールブラックスLOラグラン・マクファネルにトライを決められ17-22と初めて逆転を許す。5分にはHO江良颯が危険なプレーでイエローカードとなり(10分間の一時的退出)数的不利が生まれ、10分にはJAPAN XV SOグリーンのPG成功で20-22と2点差に迫るが、ここからディフェンスが崩れ始め12分、19分、26分、32分、41分と5連続トライを許し、最終スコアは20-53。昨年のマオリ・オールブラックス戦初勝利に続く「連勝」はならなかった。
試合後の記者会見で、HC代行を務めたニール・ハットリー コーチングコーディネーターはこのようにコメントした。
「我々としては今日の結果にがっかりはしていますが、いいこともたくさんあったと思っています。今回、自分たちがしっかりチャレンジしてよかった点を増やしていく、ということを今新人グループの中で話しています。彼らにとっては一段上のレベルでプレーしたことは大きな学びになったので、今回よかった点と学んだことを来週に向けて活かしていきたいという話をしました」
ゲームキャプテンを務めたFL下川甲嗣も悔しさを表しながらもいい学びになったことを強調した。
「自分たちとしてはシステムやフィジカリティの面で前半の入り(序盤)から仕掛けていこう、という話をしていたのですが、後半は(相手のアタックの修正もあり)40分間の一貫性というところを欠いてしまい、そこで相手にチャンスを与えてしまいました。そこは本当に今日の試合で大きな学びになったところだと思います」
7月はいよいよテストマッチ、ウェールズとの2連戦が待ち構える。合宿地の宮崎で再び準備に入る日本代表は5日(土)、ウェールズと所縁の深い北九州の血で、2013年6月15日の初勝利以来となる対ウェールズ2勝目を目指す。
取材・文・写真/齋藤龍太郎(楕円銀河)