【RWC2019】プールA・日本代表は「ポジティブ」に「準備」を進める

5月10日(水)、京都迎賓館で行われたラグビーワールドカップ2019のプールドロー(組分け抽選会)。結果はご存じの通り、日本代表はプールAに入り、アイルランド、スコットランド、ヨーロッパ予選勝者、ヨーロッパとオセアニアのプレーオフ勝者とプール戦を戦うことになりました(他のプールについてはこちらをご参照ください)。

 

林文子横浜市長がスコットランドのくじを、ワールドラグビーのビル・ボーモント会長がアイルランドのくじを引いた瞬間はどよめきが起こりました。いいプールに入ったという報道が相次ぎましたが、当の日本代表HC、選手たちはどのように感じたのでしょうか。

 

抽選会直後に日本代表のジェイミー・ジョセフHCとHO堀江翔太共同キャプテン、また翌日にジョセフHCとWTB山田章仁選手の会見が行われました。コメントを紹介します。

 

■日本代表ジェイミー・ジョセフHC

 

ジェイミー・ジョセフHC。写真は抽選会当日。

ジェイミー・ジョセフHC。写真は抽選会当日。

 

<抽選会直後の会見>

「タフなプールに入れることを期待していましたし、大変光栄で楽しみです。準備を始めるのみです。6月のテストマッチ(ルーマニア戦、アイルランド戦)に向けてはけが人の回復具合やスーパーラグビー(の影響)もありますが、素晴らしい経験ができるでしょう。日本代表はまだスコットランド代表に勝ったことがありません(編註/1989年、宿沢ジャパンが勝利したスコットランドXVは正式な代表チームではなかった)。アイルランドは(昨年11月に)ニュージーランド代表を破った質の高いチームです。いずれもタフな試合になるでしょう

 

<抽選会翌日の会見>

「昨日の結果を受けて、大変素晴らしい気分です。なぜならこれからどう戦っていくか、どうチームを作っていくかということが明確になったからです。これを受けて、これからしっかりとしたプランニングを立てていきます。6月17日(土)と24日(土)には(ワールドカップでの対戦が決定した)強豪国のアイルランドと戦うので、強化にあたって非常に役立つ試合になると思います。(同じくワールドカップで対戦する)スコットランドとは昨年戦いました。そのスコットランド戦の結果を振り返って、我々が通用した強み、また課題を振り返って修正していきたいと思っています。そして、もしかしたらルーマニアが同じプール(A)に入る可能性があります。こちらも6月10日(土)に対戦が決まっていますので、いい準備ができると思っています

 

■日本代表HO堀江翔太共同キャプテン

 

堀江翔太選手。写真は抽選会当日。

堀江翔太選手。写真は抽選会当日。

 

<抽選会直後の会見>

 

どの国が(同じプールに)来ても強いと思っていました。やることが明確になります。(日本代表と同じプールAに入った)ヨーロッパの3チーム(アイルランド・スコットランド・ヨーロッパ予選1位=ルーマニアが最有力)はスクラム、ラインアウトの部分で攻めてくるでしょう。特にFWがその面でどこまで対応できるかが鍵になります。スコットランドとは何回かやっていますが(過去4年で4回対戦し日本代表の全敗)、ワールドカップでは変わってくる。アイルランドもそうです。選手は目の前の試合をやるだけですね」

 

■日本代表WTB山田章仁選手

 

山田章仁選手。写真は抽選会翌日。

山田章仁選手。写真は抽選会翌日。

 

<抽選会翌日の会見>

 

「(抽選会の様子は)Twitterのライブ動画で見ていました。非常に楽しみです。ヨーロッパ勢はチームメイトの間でも僕の中でも非常に印象がいいので、(本心を)隠すことなく(言えば)戦術的にもメンタル的にもやりやすい相手だと思っています。個人的にはスコットランドと戦ったことがないので(前回ワールドカップも昨年6月のテストマッチも欠場)、そこは楽しみですね。選手の間ではフィジーに苦手意識があったと思います。その点ヨーロッパのチームはマインド的にすごくポジティブな声が聞こえるので、それを変に隠すことはないんじゃないかなというのが僕の意見です。いい思いを持ち続けた方がいいと思います。前回大会で学びましたが、2019年も相手に限らずどのプールに入っても第1イベント(初戦)が大事なので、(全部)勝ちにいくという流れは自然かなと思います」

 

特にアイルランドとスコットランドは(現状)格上の強敵。ティア1の南半球勢は入りませんでしたが、難しいプールであることは間違いないでしょう。楽観的な報道が相次ぐ中、ジョセフHCと堀江選手は相手が強いことを認識した上で準備が重要であることを強調しています。山田選手のコメントは一見、そういった意見とは一線を画しているようにもとれますが、あくまで戦いやすさという意味で「印象がいい」ということで、楽に勝てるだろうなどという楽観では決してありません。あくまでキャラクターの違いが言葉に出た結果と考えるべきでしょう。いずれにしても準備も含めて一様にポジティブに捉えていることがはっきりわかりました。

 

今年9月には対戦スケジュールや会場が決まります。どのチームと、どんな順番で、中何日で戦うことになるのか。引き続き動向に注目していきましょう。

 

<取材・文・撮影/齋藤龍太郎(楕円銀河)>

関連記事

最新の記事

TOP