JAPAN XV、オーストラリアA代表との初戦でWTB松島幸太朗らがトライを決めるも22-34で敗れる

ラグビーワールドカップ2023フランス大会まで残り1年という重要なフェーズを迎え、大分(この時点では日本代表候補)と宮崎でハードな合宿を敢行。ひたすら強化を進めてきた日本代表は、10月前半にキャップ非対象試合を行うチーム「JAPAN XV」(ジャパンフィフティーン)を編成し、強豪オーストラリア代表の予備軍に当たるネクストシニアチーム「オーストラリアA代表」との国内3連戦に臨んだ。

 

まずは10月1日(土)の第1戦、会場の秩父宮ラグビー場には19,729人もの大観衆が詰めかけた。注目度はもちろん、勝利に対するファンの期待の高まりを感じさせる観客動員数となった。キャップ非対象ではあるものの、インターナショナルレベルの試合初出場となるFL下川甲嗣、SO中尾隼太、そしてケガなどから復帰したNO8姫野和樹、SH流大、WTB松島幸太朗といった経験値の高い名手たちの完全復帰が期待される試合にもなった。

 

前半、開始早々の2分にJAPAN XVはSO中尾がPGを決めて3-0と先制する。しかしJAPAN XVもペナルティを連発し、オーストラリアAのSHでキャプテンのライアン・ロネガンに6分、18分とPGを許す。

 

プレースキッカーを務めたSO中尾隼太は12得点を挙げた

プレースキッカーを務めたSO中尾隼太は12得点を挙げた

3-6と逆転されたJAPAN XVだが、再びSO中尾が前半24分、38分とPGを決めて9-6と逆転したところで前半終了。JAPAN XV が3点をリードして試合を折り返す。

 

待望のトライが生まれたのは後半開始早々だった。5分、JAPAN XVは敵陣でのスクラムからSH齋藤直人、FB山中亮平、CTBディラン・ライリー、そして左大外を駆けていたWTBシオサイア・フィフィタがパスを受けるとインゴール左隅へ飛び込んで、両チーム通じて初のトライを決める。SO中尾のゴールは決まらなかったものの、JAPAN XVは14-6とさらにリードを広げる。

 

膠着状態を打破するトライを決めたWTBシオサイア・フィフィタ

膠着状態を打破するトライを決めたWTBシオサイア・フィフィタ

直後の8分にはオーストラリアAのWTBスリ・ヴニヴァルにトライを決められ14-13と1点差に迫られる。12分にはFB山中亮平がゴールラインまでボールを持ち込んだかに見えたプレーがあり、TMOの結果トライとはならなかったものの、14分にはSO中尾がPGを決めて17-13とリードを4点に広げる。

 

さらに後半15分、敵陣でのアタックでFB山中、CTB中野将伍、そして右大外に走り込んだWTB松島幸太朗へとパスが渡り、この試合初のボールタッチで一気にインゴールへ到達しトライ。スコアを22-13とし、フランスでさらに成長した姿を日本のファンに披露した。

 

理想的な試合運びを見せていたJAPAN XVだが、ここからオーストラリアAが反撃。後半18分にはFLブラッド・ウィルキン、21分にはWTBマーク・ナワンガニタワセに連続トライを決められる。22-27と5点ビハインドとされていた24分、SO中尾がPGを狙うも決まらず点差を縮めることができない。すると33分にもWTBナワンガニタワセが連続トライを決めて、22-34でJAPAN XVが3連戦の1戦目を落とした。

 

攻守に渡り働き続けたFB山中亮平

攻守に渡り働き続けたFB山中亮平

獅子奮迅の活躍でコンディションの良さを感じさせたNO8リーチ マイケル

獅子奮迅の活躍でコンディションの良さを感じさせたNO8リーチ マイケル

勝利にこだわりチームを牽引したHO坂手淳史キャプテン

勝利にこだわりチームを牽引したHO坂手淳史キャプテン

試合後の記者会見で、JAPAN XVのジェイミー・ジョセフHCは初戦をこのように振り返った。

 

「残念な結果になってしまいました。夏の試合(ウルグアイ戦・フランス戦)後の最初の試合ということでスタートが少し難しい部分もありましたが、選手たちの勝ちたい気持ちが表れていたのではないかと思っています。自分たちもしっかり相手にプレッシャーをかけてポイントを取るところまで来たのですが、最後の15分から20分ぐらいのところで簡単にトライを獲られてしまった場面がありました。そういった意味でも次の試合に向けて、精度を意識して一貫性のあるゲーム作りをしていかなければいけないと思っています」

 

HO坂手淳史キャプテンは次戦に向けて修正を誓った。

 

「結果を出したかったですし、出せるゲームだったので本当に残念です。ただ、自分たちのラグビーはできた部分もありましたし、それが一貫性につながっていくと思っています。守り切った時間帯もありましたが、プレッシャーを受けて(トライまで持って)行かれてしまった場面もありましたので、しっかりと修正していきたいと思っています。自分たちが前に出ていくモメンタムを消してしまった点に関してもしっかり修正していきたいです」

 

司令塔として先発出場し66分間活躍したSO中尾隼太は、インターナショナルのレベルを実感しつつもたしかな手応えを感じていた。

 

「前半はインテンシティ(強度)が高く、後半に入ってから判断やプレーの精度がちょっと落ちてきたと自分で実感しました。このレベルを知ることができたので、これから慣れていかないといけないなと思っています。キック、攻撃の方向性、コントロールしていくところはもうちょっと理解を深めていかないといけないと感じました。ただディフェンス、タックルの部分はある程度通用したと思います。アタックに関してもパスをつなぐところは良かったと思います」

 

JAPAN XVは10月8日(土)にベスト電器スタジアム(福岡)でオーストラリアAとの2戦目に臨む。勝ち越すために落とせない次戦の戦いぶりに注目だ。

 

取材・撮影・文/齋藤龍太郎(楕円銀河)

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