15人制女子日本代表が7月から挑んできた「太陽生命 JAPAN RUGBY CHALLENGE SERIES 2022」は、8月27日（土）に最終戦を迎えた。10月、ニュージーランドで開催される女子大会「ラグビーワールドカップ2021」前の国内最後のテストマッチ、アイルランドとの第2戦が秩父宮ラグビー場で行われ、4569人のファン、そしてこの試合前とハーフタイムにキャップ授与を受けた代表OGたちが「サクラフィフティーン」の雄姿を見届けた。
22-57で完敗した第1戦に続くホームでの第2戦、サクラフィフティーンはまず先制して勢いに乗りたいところだったが、キックオフ早々の前半3分にアイルランドWTBナターシャ・ビーハンにトライを決められ、0-5とリードを許す。
トライやトライアシストなどでチームに貢献し続けたSO大塚朱紗。
しかし前半16分、日本代表は敵陣ゴール前でのマイボールスクラムからNO8永井彩乃、SH阿部恵とつなぎ、そのラストパスを受けたSO大塚朱紗がトライ。5-5の同点に追いつく。さらに34分、日本代表は再び敵陣でのスクラムを起点に仕掛けると、FB松田凜日が持ち味である力強いランで相手ディフェンスを突き抜けトライ。SO大塚のゴール成功で12-5と勝ち越し、前半終了を迎えた。
敗れた南アフリカ戦第２戦とアイルランド戦第１戦はいずれも先制しながら試合途中から崩れ始め、逆転を許す展開となった。しかし本シリーズ最終戦でようやくリードして試合を折り返した後半、日本代表は前半の勢いそのままに仕掛け続ける。まず後半９分、日本代表は敵陣ゴール前まで迫ると、SO大塚のロングパスを受けたWTB名倉ひなのがトライ。17-5とリードを広げる。
後半9分、相手を突き放すトライを決めたWTB名倉ひなの。
さらに後半15分、またも見せたのはFB松田だった。ハーフウェイライン近くでパスを受けると約50mを走り抜け、トライ。22-5とさらにリードを広げる。
19分にはアイルランドに2トライ目を決められ22-10とされたものの、25分には途中出場の日本代表PR加藤幸子が勝利を決定づけるトライを決めて29-10。これが最終スコアとなり、日本代表は過去6戦全敗だった強豪アイルランドから初勝利。ワールドカップへ弾みをつける快勝で国内での大会前ラストマッチを締めくくった。
サクラフィフティーンは10月のワールドカップを前に国内で合宿を行い、開催地のニュージーランドへ発つ。そして大会直前の9月24日（土）には優勝候補の一角である15人制女子ニュージーランド代表「ブラックファーンズ」と聖地イーデンパークで対戦することが決まった。
サクラフィフティーンのレスリー・マッケンジー ヘッドコーチは、
「この試合は私たちにとって非常に大きな機会だと捉えています。ニュージーランドからのこのような招待をいただくことは、私たちチームが初めに集まった 2019 年からどれだけ進歩したかの証であると感じます。母国でのラグビーワールドカップのキックオフを控えたブラックファーンズにとっては大きな出来事となるでしょう。彼らはますます勢いのあるパフォーマンスを見せており、会場となるイーデンパークでは注目を集めると思います。サクラフィフティーンにとっては、ファンガレイでのワールドカップの初戦に向けて、より深く学び、チームとして成長する機会となります。ワールドカップに向けたこのウォームアップで強豪国と戦い、私たちは自分たちを試すことになります。日本の皆さん、ご声援のほどよろしくお願いいたします」
とコメント。ニュージーランドとの初対戦を重要な一戦と位置付けた。
いい形で国内のテストマッチを終え、ワールドカップに向けて着々と準備を進めるサクラフィフティーン。9月上旬には現在のスコッド40名から32名に絞られる。彼女たちの戦いはここからが本番だ。
取材・文・撮影／齋藤龍太郎（楕円銀河）
