8月30日(土)、日本代表は「アサヒスーパードライ パシフィックネーションズカップ2025」のプールフェーズ(プールB)初戦を迎えた。今大会唯一の日本開催となるユアテックスタジアム仙台(宮城県仙台市)でのカナダ代表戦には11,187人のファンが詰めかけ、昨年準優勝に終わった日本代表への王座奪還への期待が感じられる声援が送られた。
「人生初のキャプテン」(本人談)に就任したLOワーナー・ディアンズ ゲームキャプテンを中心に好発進を目指した日本代表は、キックオフ早々の前半3分に敵陣ゴール前のスクラムでフリーキックを得ると、クイックタップでリスタートしたNO8ファカタヴァ アマトが力強く飛び込み、先制トライ。SO李承信のゴールも成功し(7-0)、13分にはSO李がPGを決めて、スコアは10-0に。日本代表が幸先のいいスタートを切る。
その後は思うように得点を重ねることができず、逆に23分にはカナダにトライ&ゴール(10-7)、30分にはPGを決められ10-10と同点に追いつかれる。LOワイサケ・ララトゥブアの反則の繰り返しによるイエローカードも重なり、日本代表にとっては厳しい展開となる。
そんな状況を打開したのはLOディアンズ ゲームキャプテンだった。スクラムでフリーキックを得ると、PR竹内柊平がすかさずボールキャリー。一気にゴール前まで迫ると、最後はLOディアンズが飛び込んでトライ。17-10と再びリードして前半終了を迎える。

後半は序盤からフレッシュな戦力に入れ替え、やや膠着状態となった前半からの修正を試みた日本代表は、後半15分にWTB石田吉平、SO李、FBサム・クリーンらのランと連係で大きく前進。最後にパスを受けたNO8ファカタヴァ アマトがこの試合2本目のトライを決め、24-10と点差を広げる。
20分にも日本代表は敵陣でチャンスを得ると、左から右へと短いパスをつなぎ、右大外に構えていたFBサム・グリーンがパスを受けて走り込み、トライ(29-10)。25分にはラインアウトからFWがモールで押し込み、FLベン・ガンターがトライ。36-10とカナダをさらに突き放す。
終盤は両WTBの活躍が目立った。33分、途中出場のWTB長田智希がトライを決めると、37分と44分にはWTB石田吉平が持ち前の鋭いランとステップを生かして連続トライ。39分には相手にトライを許したものの、日本代表が57-15とカナダを圧倒した。

試合後の記者会見で、日本代表エディー・ジョーンズHCはこのように試合を振り返った。
「パシフィックネーションズカップという大会の初戦であり、10名の選手たちが1キャップもしくは1キャップ以下のチームでしたが(実際には試合前時点で2キャップ2名、1キャップ4名、0キャップ4名)、非常に良い準備ができました。本人たちも期待値が非常に高かったがゆえに、前半の入りから気持ちの強さから行き急いでしまい、うまく展開できないうえに個人プレーに走ってしまい、ペナルティを犯してしまうということもありました。
ハーフタイムにはキャプテンのLOワーナーを中心にその点を修正していこうという話をして、選手たちも見事に対応してくれたことで、一丸となってチームプレーができました。その結果、40点差(42点差)をつけたのは非常に大きなことであり、評価できるところです」
LOワーナー・ディアンズ ゲームキャプテンはこのように振り返った。
「(勝てて)うれしいです。大事な一戦でいいスタートを切るために準備してきましたが、前半は一人ひとりがちょっと行き過ぎて、後半でそれを修正できたことは今後に向けてよかったなと思います。(具体的には我々)リーダーとエディーさんとで話して、丁寧にプレーしようとし過ぎているという話になり、ハーフタイムに『チームとして固まり、全員で全員のためにプレーしなければならない』と言いました」

また、この試合で先発したCTBチャーリー・ローレンス、リザーブから途中出場したPR小林賢太、HO佐藤健次、CTB廣瀬雄也が初キャップを獲得。それぞれの持ち味を出し、今後の活躍も期待させるパフォーマンスを見せたことは大きな収穫と言えるだろう。
取材・文・撮影/齋藤龍太郎(楕円銀河)